JFA DREAM 夢があるから強くなる










彼女たちがこれまでやってきたサッカーへの思いを最も表現できるのがオリンピック。 佐々木則夫なでしこジャパン監督

佐々木則夫なでしこジャパン監督 北京オリンピック直前インタビュー

2008年7月21日
取材・文:木ノ原 句望

──今回の合宿では男子高校生との練習試合もありましたが、男子の力を借りることは必要ですか?

 男子高校生はそこそこフィジカルも強く、身体的に欧米的な部分を持っています。しかも彼らのプレーシステムが、どちらかというと今回の1次リーグで対戦するチームのシステムに近いので、目的を持たせてやればシミュレーションにもなるかと考えました。
 特になでしこの場合は、女子の日本にいるチームといってもいい相手がいませんから。男子はたくさんいて、体つきを見てもフィジカル(の強さ)を見ても、欧米的な要素は見出せます。
 それと、7月21日の練習試合(対富岡高校)では、アメリカ戦後の移動も想定してスケジュールを決めました。本大会ではアメリカとの対戦後(翌日)、次の試合(対ノルウェー)のために上海への移動があるんですが、北京へバス移動して上海へ飛ぶことになる。そこで今回も、試合をして、バスで福島へ移動して飛行機で神戸へ行き、中2日でオーストラリアと対戦する。そういうシミュレーションセットにしたんです。

──対戦相手の分析も進んでいるようですが、過去に彼らと対戦した時と比べて、彼らのプレーで変わってきているところはありますか?

 アメリカは監督が代わって、システムに組織的要素がプラスアルファされて、非常に穴がなくなってきたという印象があります。以前は、攻撃したあとにボールを奪われると、攻から守になったときに意外に穴があったような気がしたのですが、4-4-2でフラットになって、誰もが均一な状況で各自の配置から攻撃するし守るという形を取っています。そういう意味では個も強いですし、組織的にもリスクがないような状況をつくりながらチームが構成されてきた。パワーアップしてシステム的にも穴がなくなってきています。このグループで一番強いチームです。
 ただ、我々の連携連動はもっと質が高いと感じています。個々のパワースピードやセットプレーでの迫力は比ではないので、いかにそういう相手のストロングポイントを消していきながら我々のよさを生かせるか。より質が求められるようになってきました。
 ノルウェーも、以前対戦したときよりも本当にバランスがよくなってきています。特出した選手が前にいるわけではないが、全体にアベレージの高い選手が配置されている。
 とはいえ、我々も連携してよりよい条件でボールを出したり、数的優位な状況を作ったりタイミングを計ることで活路は見出せると思っています。守備でも、相手の自由を奪いつつ自分たちの守備の網の中にかけて数的優位を作ってボールを奪う。そういう準備をしてきています。今までの対戦では、スコアは1-0の僅差でも内容に開きはあった。それが今は、その差は縮まっています。しかも前の対戦で1点差だったことを考えると、我々ももっとチャンスができるのではないかと思っています。日本と一番力が近い相手だと思います。
 NZについては、若いチームですがワールドカップ後に親善試合を積んで、組織的な守備力が上がってきていると僕は感じています。4-4-2で高い位置からボールをチェーシングすることもできるし、リトリートしてしっかりカウンターを狙うこともできる。欧州タイプです。我々がイニシアティブを取れたとしても、ビルドアップしているところでボールを奪われてピンチになることも起こり得るだろうし、連動していい状況で攻めたとしても彼らの守備は集中してバランスもいいので、簡単には得点できないでしょう。

──なでしこはチームの核になるメンバーが変わらず、しかもコーチ時代から現在まで佐々木監督が長くチームを見ていることは有利な要素ではないでしょうか?

 そうですね。それは感じています。ま、コーチから監督になったときにはお互いにくすぐったい感じはしましたが…(笑)。「“監督”とは言うなよ」と就任当初から選手には言ってあることもあって、みんな変わらずに「ノリさん」と言ってくれています。
 お互い長い間顔を合わせているので、今になってはやりやすい状況ではあると思いますし、なるべく何でも話すような雰囲気は作っています。スタッフも、一人ひとりの得意分野を十分に発揮してくれているので、すごく助かります。ミーティングでも僕だけでなく、各コーチが説明してくれたりしています。おかげで、チーム全体で共通意識を持ちやすい環境になっています。

──それだけ日本もレベルアップしてきていると?

 そうだと思います。はっきり言って、みんな、徐々に自信を持ってきています。
 ただ、日本も分析されています。本番ではどうなるか。そういう心積もりをしながら準備をしないといけないと思っています。