JFA DREAM 夢があるから強くなる










彼女たちがこれまでやってきたサッカーへの思いを最も表現できるのがオリンピック。 佐々木則夫なでしこジャパン監督

佐々木則夫なでしこジャパン監督 北京オリンピック直前インタビュー

2008年7月21日
取材・文:木ノ原 句望

──前任の大橋監督から引き継いで、どの部分を変えて強化していこうとしたのでしょう?

 大橋監督は個の質を上げてチーム力を上げるということにかなり尽力してやっていました。そういった経験で個の質が上がったところで、今度は組織というか、チームのコンセプトを明確にしていけばもっと個が生きてくると考えました。今年はオリンピックイヤーですから、特に今年の2月からは、4割は個の質を上げ、6割はチームコンセプトを上げることに特化してやってきました。
 さらにレベルアップさせたいという思いはありますが、もうワンランク個の質を上げるのは、例えば来年からなど、次のステップからではないかと思っています。

──今年は2月の東アジア選手権で優勝し、5〜6月のアジアカップでは3位になりました。これらの大会をオリンピックへ向けてどう生かそうとしたのでしょう?

 これらの大会があることは決まっていたので、それをオリンピックにどうやって結びつけて強化しようかということは考えていました。理想を言えば、東アジア選手権のあとに欧米遠征をやって、身体の大きな選手を相手に直接自分たちのやってきたコンセプトをぶつけて、できるものとできないものを検証して強化を図るというのがいいのでしょうが。
 アジアカップでは、中国とかオーストラリアは少し欧米化になってきているので、暑いところで対戦して、暑さ対策と欧米対策として検証しようと。また、オフィシャルな大会としての緊張感もありました。そうして戦って足りないところも見えましたし、90分中で自分たちのコンディションが落ちた時、相手が変化した時にどうするかという部分ではいい勉強になりました。

──昨年のワールドカップも中国で行われましたが、いいシミュレーションになったのでしょうか?

 そうですね。試合会場になる場所は少し違いますが、でも雰囲気は変わらないでしょう。食事に気をつけた方がいいなど、中国についていろいろ言われますが、でも、僕らは東アジア大会とワールドカップで2度中国という土地を経験して、私も選手もナーバスな雰囲気はまったくないですね。

──1週間で3試合というハードスケジュールですが、勝ち抜くにはなにが重要になると?

 コンディションの調整とかチームコンセプトを上げることも必要だが、彼女たちが持っている北京への思い、アテネでベスト8になってもう一歩という悔しい思いをしたことや、(今回は)メダルに手が届きそうだとメダルが視野に入って自信もついています。それが、北京でなんとかメダルをというパワーに変わってきて出てきている。そういった思いというのは一番大事ではないかと思っています。
 彼女たちがサッカーをやってきて、それを最も表現できるのは、女子の場合にはオリンピックです。そういう部分で彼女たちの思いは、僕などよりも相当強いですから。そういった意識や高揚を彼女たちは持っている。だから、少し苦しくても、そういうところに立ち返れば強い力が出ると思います。