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女子サッカーレポート
日本女子サッカー史上初となるタイトル獲得!〜東アジア選手権で見えた収穫と課題〜(08.02.29)

 中国で行われていた東アジア選手権で見事、優勝を手にしたなでしこジャパン。日本女子代表発足27年目の初タイトル獲得という快挙に、選手たちも喜びを爆発させた。最高の形で終えたこの東アジア選手権で、なでしこジャパンはいかに成長し、どのような収穫を得たのだろうか。
 「1試合1試合、積み重ねていくことによって、自分たちのサッカーが見えてきたし、ここまでやれるというのがわかって自信になった」――得点王に輝いた大野忍の言葉が全てを物語っている。しかし、出だしから順調だった訳ではない。なでしこジャパンは新システムの中、一戦毎に生まれる課題を修正し、自らの可能性にチャレンジし、そして勝利をたぐり寄せてきたのである。
 初戦の相手はアジアの女王、朝鮮民主主義人民共和国(DPR.K)。日本は中盤をフラットにした4-4-2という新システムで臨んだ。開始3分という思いがけず早い段階で先制した日本は、DFと中盤のラインをコンパクトに保ち、持ち前のパスワークを生かして攻撃を組み立てることに成功。しかし、その時間も長くは続かない。取り組んで日の浅い新システムのほころびをDPR.Kが見逃すはずもなく、また、日本のミスが重なっては逆転を許してしまうのは避けられない展開だった。ここで佐々木則夫監督は阪口夢穂を1ボランチに据える4-1-4-1に変更。日本は何とか踏ん張り、宮間あやのFKと劇的な澤穂希の逆転ゴールで試合をモノにした。今大会のキーはこの初戦にあったように思う。佐々木新監督のもと、2月4日に始動して約2週間。新システム導入に伴い、それぞれが新しい役割を担って戦う最初の相手がDPR.K。この試合で日本は自チームの問題点を出し切った。日本の弱い部分を突きつけられたゲームでありながらも、結果的には苦手意識を拭えない相手から逆転勝利を奪った。相反するこの2点があったからこそ2日間というわずかなインターバルにも関わらず、選手たちは冷静にプレーを分析し、効果的な修正を可能にする集中力が生まれたのではないだろうか。そしてそれを、大幅にメンバーを入れ替えた韓国戦の勝利で証明して見せた。
 完全アウェイで迎えた中国戦。完璧なラインコントロール、豊富な運動量、高い位置からの守備意識と素早い攻守の切り替え――日本は全てに優位に立ち、中国の長所を潰していった。3ゴール無失点という結果は数字以上の重みを感じるゲームとなった。
 今大会、佐々木監督は、招集した選手をすべて起用すると公言していた。その言葉通り、3試合で全ての選手を出場させた。中でも目を見張る活躍を見せたのが初めてボランチに配した阪口と澤。まだ完全にフィットしてはいないが、可能性を感じるパフォーマンスであった。そして近賀ゆかり、大野忍の右サイドハーフ、FW陣のポスト役のスイッチ、DFラインの安定・・・収穫は多い。もちろんそれに伴う課題はついてまわるが、対応策が明確なことからも、選手たちは取り組みやすいに違いない。運動量がモノを言うこのシステムにおいて、フィジカル強化は必須条件だが、今後は、プレーの質、早いテンポで展開される中での状況判断、高い位置からのプレスの徹底をどこまで高めて行けるかがポイントとなりそうだ。
 今大会を「出来過ぎ」と佐々木監督は振り返ったが、日本の攻守がピタリとはまったことが優勝につながったのは疑う余地もない。しかし、日本が初めて披露するサッカーに対戦国が対応しきれなかったことや、コンディションの問題も含め、日本に追い風が吹いていたことも確か。次のAFCアジアカップでの戦いが日本サッカーの力を試す重要なステージになるだろう。
 さらに佐々木監督は新戦力の発掘も兼ね、3月1日からのキプロス遠征では主力選手を休ませ、なでしこチャレンジに参加していた熊谷紗希、佐藤衣里子、鮫島彩、後藤三知を初招集。チーム内でもポジション争いが激化することは必至だ。初招集組だけでなく、実践の場でのアピールはポジション獲りに大きく影響するだけにチームとしての内容だけでなく、シビアな個人戦も予想される。現地ではオランダとのテストマッチを行い、その後CYPRUS WOMEN`S CUP 2008に参加する予定だ。北京オリンピックへ向け、なでしこジャパンの次なるチャレンジは始まっている。

(文/早草紀子)