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女子サッカーレポート
20周年という節目を迎えて〜Plenusなでしこリーグ田口禎則事務局長に聞く〜(08.05.16)

 今年で20周年を迎えた日本女子サッカーリーグ(Plenusなでしこリーグ)。リーグが抱える現在の課題と今後について田口禎則事務局長に話を聞いた。
 日本女子サッカーリーグ(現、Plenusなでしこリーグ)は1989年に日本女子サッカー最高峰のリーグとして産声を上げ、今年で20年目を迎える。女子サッカーのレベルアップに期待を込めた創生期、国外からスター選手がリーグに参加していた黄金期、そしてバブル崩壊のあおりを受けた氷河期。日本の女子サッカーは試練と発展を繰り返しながら歩んできた。
 「男子に比べれば20年というのはまだまだ短いのですが、本当にいろんなことがあり、歴史を感じます」と語るのは日本女子サッカーリーグ事務局長の田口禎則氏だ。バブル崩壊後、スポンサー企業の撤退が相次ぎ、一時はリーグの存続すら危ぶまれた。その後2003年のFIFA女子ワールドカップ予選から日本女子代表がにわかに注目されるようになる。2004年のAFCアテネオリンピック予選では朝鮮民主主義人民共和国との「国立の奇跡」と呼ばれる大一番に勝利し、一気にブレイク。一般公募によってなでしこジャパンという愛称も生まれた。その年に行われたアテネオリンピック本大会では日本女子史上初となる決勝トーナメントへ進出した。
 なでしこジャパンの活躍とともに日本女子サッカーリーグにも徐々に追い風が吹き始めた。通称をこれまでの「Lリーグ」から「なでしこリーグ」に改め、2006年からの2年間は株式会社MOCが冠スポンサーとなった。運営面が安定したことで10年ぶりにオールスターが復活、カップ戦(なでしこカップ)も開催されるなど日本女子サッカー界に活気が戻り始めつつある。オリンピックイヤーとなる今年からは株式会社Plenusが冠スポンサーに決定し、リーグにとっても重要な一年となる。 「Plenusは「お弁当」という形で私たちの身近に存在し、全国2000店舗を展開しています。従業員には女性も多く、地域に密着している点など、実に我々の目指すところと重なります。互いに協力していきながらいろいろ発信していけたらと思っています」(田口事務局長)。北京オリンピックでなでしこジャパンが躍進すれば、リーグもさらに注目されることになる。勢いをつなぐためにも選手たちに触れる機会を作るべく現在、3年連続オールスター開催に向けて調整中だ。
 また、近年は女子サッカーには珍しく、オフシーズンの移籍いわゆるストーブリーグも熱く、チームの重要な強化手段となっている。
 「L1においてはさらにチーム強化に力が入っています。代表活動があったりオフシーズンの強化には苦労しながらも開幕前には国内外で合宿を張るチームも多く、よい傾向だと言えますね。L2でも選手たちが巡回指導を行ったり、サッカースクール、エスコートキッズなどを通して地域交流に力を注いでいます」と田口事務局長。さらにある改革についても話をしてくれた。
 「2010年のシーズン開幕からL1、L2のチーム形成などについても見直しや改革を行い、リーグ発足の位置を確認しながら2013年にはこの改革ビジョン完成を目指したいと思っています」。ポイントは格差をなくすということ。特にL2においては上位と下位で実力に差が出てきていることは事実で、ここを一度整えようというものだ。といっても判断は強い弱いだけではない。地域密着度や将来性も十分に加味される。そこには地元に根付いたチーム作りに加え、プレイヤーの裾野を広げるという狙いがある。また真夏の試合についての見直しなどプレイヤーズファーストを考えた計画も盛り込まれている。
 「昨年、日本サッカー協会から女子サッカーの指標となる“なでしこビジョン”が発表されました。リーグとしてもみんなが目標とするものであり続けなければなりません。私個人としてはリーグが改革せずしてどうするんだという思いでいます。そして改革完成時には選手たちの今後の発展のためにも全試合有料試合に戻せるようにしたいんです」と、田口事務局長からは決意の言葉が聞かれた。しかし、この改革案はまだ手探りの状況で、各チーム、選手はもちろん地域の協力なくしては成し遂げられるものではない。決して簡単な道のりではないだろう。しかし、通らねばならない道でもある。
 オリンピックイヤーとなるこの一年は、なでしこリーグ今後の改革、ひいて今後の女子サッカーにも少なからず影響を与えることになるだろう。魂のこもった「なでしこ」らしいプレーで改革につながる一年にすることができるのか。様々な面で注目されるシーズンは第6節を終えて(L2は5月18日に第6節終了)一ヶ月の中断期間に入った。L1、L2ともに再開は6月15日となっている。

(文/早草紀子)