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女子サッカーレポート
激しさと冷静さを兼ね備えたプレーを 〜アジアカップで見えた宇津木瑠美の成長〜(08.06.06)

 現在、AFC女子アジアカップで奮闘中のなでしこジャパン(日本女子代表)。今回はボランチ、左サイドと複数のポジションでその存在感を発揮している宇津木瑠美選手に話を聞いた。
 “期待の左利き新人”として宇津木瑠美がなでしこジャパンに招集されたのは高校生の時だった。女子には珍しい左利き、その上体格にも恵まれ、大きな期待とともに注目を浴びた。「これが代表なんだという緊張みたいなのはなかったです。日テレ・ベレーザに所属していた選手も多かったですからね。ただ、澤さんやごみさん(加藤)は存在そのものがチームの中心でした。代表は他のチームからも“選ばれた人”が来ている訳で、そこで中心を担うということはトレーニングでもそうですけど、メディア対応とかすべての面で引っ張って行くってことなんだなって二人の姿を見て感じました」と宇津木は語る。
  この3年であらゆる経験を重ね、今年二十歳を迎える宇津木。現在の代表には当時の自分と同じ高校生が二人(後藤三知、熊谷紗希)招集されている。AFC女子アジアカップ直前合宿からBチームでともに戦ってきた。北京オリンピックへのテストと暑いベトナムの地での連戦に備えたターンオーバーを兼ねて、当初から敢えてメンバーを変えずに2チーム構成で戦えるようにトレーニングを積んできた。初戦を落として後がない第2戦、佐々木則夫監督は迷わずBチームをそのまま起用した。そこにはベトナム入りしてから見せた彼女たちのパフォーマンスへの信頼感があった。しかし高校生にとってみれば初の大舞台。ハーフタイム、力が入りすぎていた後藤に宇津木は声をかける。「プレイに迷いがある。三知らしくやればいい」。その言葉で吹っ切れたと後に後藤は語っている。チーム全体のバランスを見るまでに成長した宇津木の姿がそこにあった。「私の時もまわりに助けられた。彼女たちは私の時と違って本当に高校生のチームから来ているので緊張の度合いはかなり違うと思うんです。そういう面ではフォロー出来るように気をつけました」。
  この試合で自身はボランチでの起用。続くオーストラリアとの予選グループ最終決戦では左サイドとして途中出場を果たし、攻撃力の高さを証明した。
  「監督に展開力を求められているのは理解しています。私は上背もあるし、長所を生かしていきたい。時間帯にもよりますけど左サイドで起用されるときはタテの仕掛けだったり、クロスだったりとアドレナリンがドッと出る感じのまま結構自由に勢いにまかせて行けるところがあります。でもボランチだとそうはいかない。とにかく蹴らせないようにしないといけない。夢穂(阪口)とかのプレイは外から見てて勉強になりますね」。
  準決勝でも左サイドバックとして途中出場の機会を得た。中国を相手にビルドアップしてチャンスメイクする場面も見られ、今、宇津木は虎視眈々とレギュラー獲りを狙っている。 「一番気をつけているのは心身のバランス。体も頭も激しくなるとまわりが見えなくなる。それはチームのバランスを崩すことにつながってしまうかもしれない。プレイが激しい時は頭を冷静に、と心がけています」。
  北京オリンピックまであと2ヶ月。なでしこジャパンに確かな戦力が育ってきている。

(文/早草紀子)

※AFC 女子アジアカップ ベトナム2008の詳細は、こちら