「芝生で語ろう」
AFCアジアチャンピオンリーグからFIFAクラブワールドカップへ
今年も熱戦が繰り広げられたFIFAクラブワールドカップ。世界No.1と評されるマンチェスター・ユナイテッド(マンU)が来日するとあって、日本のサッカーファンが大いに沸き立ちました。
今年も決勝は、欧州対南米というカードになりましたが、ボールさばきといい、運動量といい、フィジカルの強さといい、さすが世界トップレベルでしたね。マンUは途中、退場で一人減りましたが、減っても守りは変わらず、逆にスペースが広くなったことで思い切って攻めていた。さすが決勝戦、ほんとうに素晴らしい戦いでした。
日本が2年連続でAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制覇し、アジア代表としてFIFAクラブワールドカップに出場したことは高く評価されます。クラブの努力と選手の頑張りはもちろんですが、日本サッカー協会とJリーグで立ち上げたプロジェクト(ACLクラブチームサポートプロジェクト)の効果も大きかったのではないかと満足しています。
これまでACLは、日程やスケジュール、移動など、クラブにかかる負担が大きく、またその対策も不十分だったため、Jリーグではこの大会をあまり重要視してきませんでした。しかし、FIFAクラブワールドカップが創設され、世界舞台が用意されたことで、日本としては当然、“ACLを制覇する”という命題を掲げました。そして2007年、このプロフェクトを立ち上げ、AFCや対戦クラブとの調整、チャーター便の手配など様々なサポートを行ってきたわけです。
昨年、浦和レッズがアジア代表としてクラブワールドカップ出場したとき、タイやマレーシア、インドネシアなどの人々から大きな反響があって驚いたんですが、アジア各国の人々がレッズを“アジア代表チーム”として見てくれていた。自分たちが果たせなかった目標をレッズが叶えてくれ、という期待だったしょう。
FIFAクラブワールドカップができたことで、アジア各国リーグのモチベーションが高まったのは言わずもがなのこと。それは、アフリカや北中米・カリブ、オセアニアも同じで、どの国も世界を目指してレベルアップしていくでしょう。欧州対南米のトヨタカップから、6大陸の王者が出場するクラブワールドカップに拡大されたことは、世界のサッカーの普及、発展をもたらす大改革だと思いますね。
ガンバ大阪の評価
3位決定戦に進んだG大阪の相手はメキシコのパチューカでした。メキシコはサッカーの裾野が広く、育成プログラムが進んでいる国ですので、G大阪がどれだけできるのか興味深く見ていました。ここに勝ったのは大きな意味がありますね。これまでで一番、守備もしっかりしていたし、非常に中身の濃い試合だったと思います。
その前のマンU戦。あの世界強豪から3点取ったのはそれなりに評価できますし、気持ちは分からなくないんですが、負けてもさほど悔しがっていない選手たちを見たときは、まだまだだと思いました。やっぱり、悔しがらないと。まぁ、西野(朗)監督が悔しがっていたので、それが救いではありましたが・・・(苦笑)。
FIFAの役員は、攻撃的なサッカーでマンUに挑んでいったG大阪を見て、日本のサッカーが進歩したと高く評価していました。G大阪のパスがつながると、みんな「オー!」と声を上げるんですよ。「結構、日本もやるじゃないか」という感じ。
Sir.ボビー・チャールトンもオシム前監督も、「日本にはインテリジェンスと平常心がある」と話していました。足りないのは、国際経験とフィジカルの強さだと…。
この前、ドイツから帰国した長谷部(誠/VfLヴォルフスブルク)と話したんですが、ヴォルフスブルクに移籍して数か月間は、フィジカルトレーニングしかやらせてもらえなかったそうです。レッズにいたときより体つきも一段と大きくなりましたからね。やはり、欧州などの強いチームを経験することで、大きく成長するんですよね。日本でもそういう強化策を積極的に取り入れていくべきだと、あらためて感じました。
昨年のレッズしかり、今年のガンバ大阪しかり、トップレベルのチームと戦って世界との差を痛感したことが大きな収穫になったと思います。国際舞台に立ち、様々な経験をすることで、また次の目標ができるわけですからね。
昨年、レッズが3位になったので、G大阪に対する期待も大きかったと思うんですが、そういうプレッシャーの中で戦うことでさらに伸びていく。来年のACLは日本から4チームが出場(J1リーグ1~3位チームと天皇杯優勝チーム*)が出場できるわけですから、期待も注目も高まります。多くのチームが国際経験を積んでいくことで、Jリーグもさらにレベルアップしていくものと楽しみにしています。
来年からACLが刷新、FIFAクラブワールドカップはUAEで
来年はACLの大会方式も変わり、32チームによって争われます。グループラウンドは16チームを東西に分けた上で、4チームで構成されるリーグ戦(4チーム総当たり/ホーム&アウェイ方式)を行い、各組の上位2チームがラウンド16に進出します。ラウンド16終了後は、抽選を行って(東西考慮せず)準々決勝の組み合わせを決定します。準々決勝と準決勝はホーム&アウェイ方式で、決勝は、今度は一発勝負となりますから、注目度も高いはず。決勝は、日本で開催することが決まっていますので、是非、ここで優勝し、3年連続でFIFAクラブワールドカップの出場権を手にしたいと思っています。
来年も、JFAとJリーグが協力し、どういう準備が必要かしっかり考え、ACLに出場する選手が思う存分戦える環境をつくりたいと考えています。
FIFAクラブワールドカップも来年から舞台を日本からアラブ首長国連邦(UAE)に移します。開催国が変わることで何か新しい発見があり、次の日本開催(2011~2012年大会)をより魅力的なものにできるかもしれない。それに、UAEと比較されることで、日本の運営力やホスピタリティ、安全性などがあらためて評価されるかもしれないし、日本のファンもこの大会を開催する価値を再認識してくれるのではないかと思っています。
Jクラブにとっては、良い意味での試練にもなるでしょう。この2年間は、ホームの利もあったでしょうが、今度はアウェイでの戦いです。そこで世界の強豪と伍して戦えたなら、日本の実力が本物だったと世界から認められるはず。是非、クラブワールドカップの出場権を手にし、大躍進を遂げてほしい――願わくば、日本が決勝に進出し、これまでの、“欧州対南米”の構図を変えてくれるといいですよね。
※J1リーグ1~3位チームが天皇杯に優勝した場合、J1リーグ4位チームが出場する。
