「芝生で語ろう」
新たな選手がそのチャンスを生かすか
新年度を迎え、新生活を始めた人も多いのではないでしょうか。日本サッカー協会も新しい年度を迎え、明日(4月6日)はJFAアカデミー福島で、9日には熊本宇城校で入校式を行い、両校、男女合わせて37人の新入生を迎えます。
FIFAワールドカップ南アフリカ大会も余すところあと2ヶ月。SAMURAI BLUEも臨戦態勢を整える時期となりました。今週7日には大阪長居スタジアムでセルビア代表と対戦。この試合のメンバーには、新たな顔ぶれや代表返り咲きの選手が加わったほか、大学生選手が選ばれるなど、楽しみなゲームになりそうです。チケットは早い段階で完売となり、本大会を2ヶ月後に控えてファン・サポーターの期待が高まっていることがうかがえます。
今回対戦するセルビア代表はFIFA世界ランク第15位。ワールドカップ予選では強豪フランスを抑え、グループトップで本大会出場を決めた強豪です。高さと強さが武器のこの屈強なチームに、日本はどんな戦いを挑むのか――。完成度を上げたSAMURAI BLUEを見たいものです。
ところで、今回、代表2度目の招集となった福岡大の永井(謙佑)選手ですが、彼は、2008 Jリーグヤマザキナビスコカップで優勝争いをしていた大分の金崎夢生選手に代わってU-19日本代表に選抜され、AFC U-19アジア選手権2008のイラン戦でハットトリックを達成。与えられたチャンスをモノにし、大躍進した選手です。昨年はユニバーシアードのブラジル戦、タイ戦でもハットトリックを果たし、日本の銅メダル獲得に貢献しました。代表に初招集されたのは1月のAFCアジアカップ予選のイエメン戦。今回、このチャンスをどう生かすのか、大暴れしてくれるのではないかと期待しています。
今回は、海外組は招集できませんでした。ヨーロッパチャンピオンズリーグ(欧州CL)で活躍する本田(圭佑)選手のプレーを見たいと思っていたファンも多いでしょうが、このセルビア戦に出すよりも、厳しい欧州CLで経験を積んでから代表戦に呼ぶ方が賢明でしょう。
FIFAランキング45位とは
先日、FIFAランキングが発表され、日本は順位を一つ上げて45位になりました。
このFIFAランキング、私は日本代表チームのランクというだけでなく、日本サッカーそのものの実力だと考えています。つまり、日本サッカー協会の実力も、選手も指導者も審判も、そして、サッカーを取り巻く環境や体制、メディアやサポーターなどを含め、総合力として日本サッカーは世界45位だということ。
日本サッカー協会は「JFA2005年宣言」で世界のトップとなることを掲げています。そこで岡田武史監督が口火を切って「南ア大会でベスト4を達成しよう」と、高い目標を掲げたわけです。我々もそれを実現させるためにサポート態勢を強化し、また、10年、20年後の日本サッカーの発展を見据え、「育成」から見直そうとしている。だけど、残念ながら、批判のための批判、あるいは代案のない反対などを展開するばかりで、足を引っ張ろうとする人も少なからずいるんですよね…。
子どもの大会なんかも、世界では少人数制のサッカーで、リーグ戦が主流。日本は、何十年も同じことをやってきて、ここにきてようやく変わりつつはあるんですが、変えるにあたっては抵抗勢力がなくはなかったですね。
これまで、サッカーの普及や強化に尽くしてきた人たちの努力は認めますし、そういう人たちの支えがなかったら日本サッカーはもっと後れていたとは思います。しかし、日本が世界に進出するようになった今、以前と同じことをやっていては、さらなる飛躍は見込めません。
育成も女子サッカーも世界に後れをとっている。また、日本は経済大国だといっても、ことスポーツに限ってはファシリティーの部分でも不十分。そもそもスポーツの社会的、教育的価値も低いですしね。そういったいろんなことが「FIFAランキング45位」という順位に表れていると思います。
先ほども本田選手のことで欧州CLに触れましたが、3月31日に行われた欧州CLのアーセナル対FCバルセロナ(バルサ)の試合は、ゲーム自体も、選手も、サポーターも、さすがサッカー先進国の大会だなと思わせるシーンが多々ありました。そりゃあ、誰もが自分のチームが勝ったら嬉しいけど、歴史のあるサッカー先進国では、勝ちさえすればいいなんて思っているサポーターは少ないでしょう。勝ち負けだけではなく、サッカーそのものを楽しんでいるし、サッカーを楽しむためにスタジアムに足を運んでいる。今回の試合も、2007年シーズンまでアーセナルでプレーしていた(ティエリ・)アンリ選手を、アーセナルサポーターが温かく迎えていて、その光景に感動した人は少なくないのではないでしょうか。
サッカー関係者だけではなく、サッカーをとりまくあらゆる人たちが、「みんなで一緒に上に行こう」、「世界基準で行こう」というふうにならないと、発展の速度も遅くなってしまうと思うんです。我々サッカー関係者は、前例や慣習にとらわれずに様々なことに挑戦し、努力し、改革しなきゃいけない。それは当たり前のことですが、メディアの皆さんにもファン・サポーターの皆さんにも、そういう意識を持っていただきたいと思います。日本全体にそういった機運が高まり、全体が成熟することによって、日本のサッカーはもっともっと良くなると思うんです。
