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「芝生で語ろう」


なでしこジャパン、6度目のワールドカップ出場へ

 なでしこジャパンがAFC女子アジアカップで3位となり、6度目の女子ワールドカップ連続出場を果たしました。
 今年、なでしこジャパン海外強化指定選手制度を導入し、アメリカの女子サッカーリーグやドイツ・ブンデスリーガの女子チームに5人の選手を送り出しました。世界のトップリーグを経験している選手が増えたことで、国内の選手にも良い影響を与えています。これからも着実に力をつけ、なでしこジャパンの名を世界にとどろかせてほしいと思っています。
 来年、ドイツで行われるワールドカップ本大会では日本中の女の子達が憧れるようなプレーを見せてくれるものと期待しています。  

イングランド戦で見せた戦う姿勢

 一方のSAMURAI BLUE(日本代表)ですが、初戦のカメルーン戦まであと2週間となりました。5月30日のイングランド戦は、選手の戦う姿勢が全面に出た見応えのある良い試合でした。韓国戦では力負けした感があり、選手も危機感を持ったと思いますが、スイスに来て吹っ切れた感じでしたね。岡田監督も新たな手応えを掴んだようです。
 オウンゴールでの2失点は非常に残念ですが、それを誘発させるところはさすが強豪イングランド。しかし、あの強敵にひるむことなく戦えたのは大きな収穫だと思っています。
標高1800mのサースフェーでの厳しい高地トレーニングにも耐え、SAMURAI BLUEはようやく調子を取り戻しつつあります。今回、闘莉王が入ってバックラインが生き生きし、選手全員が落ち着いてプレーしていました。また課題もはっきりしました。追いつかれたあとにどう対応するか。イングランド戦と同じように戦っていてはオランダから勝点を取るのは難しいでしょう。あと2週間でそこをしっかり詰め、良い準備をしていきたいと考えています。
 盛り上がりに欠けると言われてきた今回の代表チームですが、ここにきてようやく光明が差し、ファン・サポーターの皆さんのモチベーションも高まったのではないかと思っています。

日の丸を背負って戦う

 その一方で、一部のメディアでは韓国戦の敗戦や記者会見での岡田監督の発言を巡り、岡田監督や日本サッカー協会を非難するような記事が出ています。イングランド戦はそれを払拭する戦いを見せてくれたのでファンの皆さんの不信感も多少薄らいだとは思いますが、確かに韓国戦後の発言は迂闊であったことは否めません。
 あらためて真相を申しますと、彼が僕の立場を慮って「負けたことで会長も色々非難されますが、僕でいいんですね?」という念押しの気持ちで確認したまでのこと。韓国にあんな負け方をしてショックを受けて混乱していたのは事実でしょうが、彼はこの場に及んで弱音を吐いて逃げるような男なんかじゃありません。誤解を招いたことは本人も不本意でしょうし、僕としてもファンの皆さんに申し訳なかったと思っています。
 その後も岡田監督と敗因の原因について30分ほど話し、今後の強化策について確認しました。本大会までの親善試合はそれぞれテーマを持って修正を図っており、イングランド戦もこれまでの試合の反省を踏まえ、実りある強化ができたと思っています。
 これまでも申し上げている通り、岡田監督の強化方針にブレはなく、僕は全幅の信頼を持って彼に代表チームを預けています。一部のメディアでは、僕が岡田監督を更迭させようと画策しているとか、僕が保身のために責任逃れをしているとか、協会内に紛争が起こっているかのような根も葉もない報道があるようですが、全くもって事実無根です。
 勝つことが日本代表としての命題であることは間違いなく、その期待に応えられないことで叱咤されたり、批判されるのは当然だとは思います。しかし、日本が世界最高峰の舞台に挑もうと一生懸命に戦っているときに、その士気をそぐような理不尽な記事が出ることは非常に残念であり、情けなくもあります。 新聞、テレビ、週刊誌等々、媒体によってそれぞれ役割や思想がありますし、雑誌などはその媒体や企画自体のコンセプトもあるでしょう。しかし、少なくとも、報道を主とした媒体ならば、批判記事を載せる際も客観的な見地に立って取材し、正当な理由を示した上で批判するべきではないかと考えます。もちろん、僕や監督に対して個人的に批判を持っている人がいるのは当然のことで、そういう人がメディアに登場し、自らの主張や一家言を発していることをどうこう言う気は毛頭ありません。ただ、取材し報道する側が、偏見から脱することなくストーリーありきで取材を進めていることがあってはならないのではないでしょうか。☆この件については虚偽を報じた媒体に協会顧問弁護士を通して抗議文を出しており、訂正に応じてくれたメディアもあります。
 少し前に僕はこのコラムで日本代表チームの世界ランク45位というのは、チームの実力だけではなく、日本サッカーそのものの実力だと言いました。つまり、日本サッカー協会の実力も、選手も指導者も審判も、そして、サッカーを取り巻く環境や体制、メディアやサポーターなどを含め、総合力として日本サッカーは世界45位だと。これをみんなで真摯に考えられたらよいと思っています。

日本が一丸となってワールドカップを戦う

 “ワールドカップはナショナリズムを懸けた健全な戦いの場”、あるいは“武器を持たない戦争”と言われることがあります。確かに、その国民性や社会性が如実にその国のサッカーに表れるものです。
 いみじくもオシム前監督が「日本のサッカーをしよう」と提言し、そのコンセプトを岡田監督もしっかり継承して、日本人の特長である俊敏性とクリエイティビティ、そして組織力を生かしたサッカーで世界と戦おうとしています。残念ながら日本サッカーはまだ“個”で戦う力はありません。そこを組織力と走力でカバーしようとしている。それにはチームのコミュニケーション、信頼感、結束力が不可欠なのです。だからこそ、ファンもメディアも、もちろん我々サッカー界も、一丸となって代表チームをサポートできればと思います。
 「ベスト4」は簡単なことではないけれど、ベスト16とベスト4では明らかに気持ちの持ちようが違いますし、練習の量も質も違ってくるんですよね。高い目標を掲げることはリーダーとして、また、日本を代表する選手としてのあるべき姿だと僕は思っています。それに、1999年にワールドユースで準優勝を遂げた時のU-18世代が働き盛りになったことや2002年のワールドカップでライバルの韓国はベスト4を達成したなどから、決して夢ではありません。
 ファン・サポーターの皆さんが「信じている」という横断幕を掲げて応援して下さっていることは心から感謝します。それがどんなにチームに勇気を与えることか――。
 本戦まであと2週間。SAMURAI BLUEが強い気持ちで臨めるよう、ここは日本人みんなが心を一つにして夢を託すことが大事だと思っています。