「芝生で語ろう」
天皇皇后両陛下にご報告
先週(7月9日)、僕と岡田監督、川口能活、長谷部誠両選手の4人が皇居に招かれ、天皇皇后両陛下にお目にかかり、ワールドカップの報告をさせていただきました。
陛下は「本当にご苦労さま。チームが一つになって戦っているのがよく分かりました」と、SAMURAI BLUEの頑張りを労って下さり、日本の躍進を心からお喜びになられておりました。
両陛下は、深夜にもかかわらず、日本対デンマーク戦をお二人でテレビ観戦されたそうで、サッカーについても非常にお詳しいのでびっくりしました。チーム全員のサインが入ったユニフォームをプレゼントさせていただいたのですが、皇后さまが「中澤選手のサインはどれですか」とか、「これは駒という字だから、駒野さんのね」と、興味深くご覧になっていました。また、長谷部選手がパラグアイ戦後に「ほとんどの選手がJリーグでプレーしているので、Jリーグにも足を運んで、ぜひ盛り上げてもらいたい」と語ったことにも触れられ、長谷部選手の気遣いを褒めておいででした。
皇室の方々がサッカーに関心を持ち応援して下さることは、サッカーに携わっている関係者や日本中の選手にとっては大きな励みになります。もっともっと頑張らなければいけないと、僕も身の引き締まる思いで皇居を後にしました。
今大会の総括をもとに指針を出す
岡田監督には少し疲れを取ってもらってから、今大会を総括し、レポートを提出してもらうことになっています。日本代表を率い、2回もあのワールドカップの大舞台に立った監督は日本人では彼だけですし、そのレポートは今後の日本サッカーの発展に向けて大きな財産になるものだと思っています。岡田監督の緻密な分析力には定評がありますからね。どんなレポートを出してくれるか楽しみにしています。このレポートは公表するものではありませんが、それを元にJFAとして出した指針はメディアをはじめ、機関誌『JFAnews』やホームページを通じて皆さんにお知らせしたいと考えています。
今大会で悲願の初優勝を果たしたスペイン。今朝、早速、スペインサッカー連盟のヴィシャル会長にお祝いのレターを出しました。
スペインのパスサッカーは本当に見ていてワクワクしますね。日本同様、体格のいい選手が少ない中でドイツやオランダに仕事をさせなかった。狭いところでのトラップやパスなどは、小さい時から狭いコートを使った少人数制のサッカーやフットサルなどで鍛えられてきたものだと思います。
日本は何十年もの間、子どもに、大人が使うピッチで11人制でやらせてきたわけですが、それに対して関係者もメディアも誰も疑問を投げかけなかった。そういう意味でもスペインのサッカーは日本に大きなヒントを与えてくれるものだと思います。代表だけでなく、育成に携わる関係者ももっとそういうところに目を向け、今後に向けて何をなすべきか考えなくてはいけないと思います。
その一方で、勤勉さや統率力、忠実さなど、日本人の特性からくる強みをどう有効に強化に反映させるか――そういうことも、今大会のキーポイントになりました。控えの選手の献身などを含め、日本人だからこそチームが一つになれた部分もありますし・・・。
今述べたことは一つの例ですが、4年後のワールドカップだけではなく、10年後、20年後の日本サッカーを見据えてきちんと方向性を出す必要があると思っています。
もちろん、次期監督の人選についてもそうです。メディアでは既に色々な監督の名前が挙がっていますが、今大会での日本チームをしっかりと総括し、世界のサッカーを分析し、今後、日本がどのように日本サッカーを築き上げていくか、それには何をなすべきか…。これにより次期監督のスペックができてくるわけですから、性急に決めたり、名前だけで選んだりせず、しっかりした方針を打ち立てた上で決めたいと考えています。今回も、技術委員が世界のサッカーをしっかり見てきていますから、彼らを中心に皆で話し合いながら進めていく考えです。
嬉しかった日本人レフェリーの活躍
今大会では、西村雄一主審と相樂亨副審の日本人審判員の活躍も特筆すべきことですね。開幕日となった6月11日のウルグアイ対フランス戦で評価を得て、21日のスペイン対ホンジュラス戦、そして24日のパラグアイ対ニュージーランド戦、さらには、優勝候補に挙げられていたオランダとブラジルとの準々決勝にもアポイントされ、第4の審判員とリザーブ・アシスタントレフェリーとしては、準決勝のウルグアイ対オランダ戦、そして今朝の決勝戦(オランダ対スペイン)を担当しました。日本人として一大会で4試合、しかも準々決勝を担当するということも初めてのことですからね。これは日本サッカーにとってはもちろん、アジアサッカーにとっても前例のない快挙だと思います。彼らが担当した試合は南アで生放送されていたTVで見ましたが、毅然と笛を吹いていましたし、何より一生懸命さというか誠実さが出ていたように思います。
また、ワールドカップ直前(5月24日)にロンドン(イングランド)で行われたイングランド対メキシコの親善試合に招待された家本政明主審、名木利幸、大塚晴弘両副審のチームも、あの"サッカーの聖地"と言われるウェンブレー・スタジアムで立派にレフェリーの仕事を全うしてくれました。
日本人レフェリーの技術力が世界のサッカー関係者から高く評価されたことは、各地で活動する審判員にとって大きな励みになるでしょう。これによってレフェリーを目指す人も増え、そういう人たちに「審判としてワールドカップに立つ」という夢を与えてくれたと思っています。
選手も審判員も組織もメディアも…すべて同じペースでレベルアップしていくのが理想ですが、審判員が一歩先んじたということですかね。とにもかくにも、日本サッカー界にとって、今回の南ア大会は、ひとつのターニングポイントになる大会だったと思います。
ファン・サポーター、そして日本全国で活動するサッカーファミリーの皆さんには、これからも日本サッカーを温かく見守り、ご支援いただきたいと思っています。
