JFA|日本サッカー協会  Japan Football Association
JFAへの登録リンクENGLISHRSS

「芝生で語ろう」


なでしこジャパンの戦いに胸を打たれる

 オリンピックの関係でこのコラムも変則的になってしまい、2週間ぶりとなってしまいました。
 私は8月8日に北京に入り、U-23日本代表のナイジェリア戦、オランダ戦、そして、女子のアメリカ戦、ノルウェー戦を観て一旦帰国。18日に再び北京入りして女子準決勝の対中国戦を観戦して、再度、日本に戻って札幌ドームでの日本vsウルグアイ戦を視察し、翌朝また北京に戻ってなでしこジャパンの3位決定戦を観戦する、という北京と日本を行ったり来たりの2週間でした。
 さて、北京オリンピックですが、惜しくもメダル獲得にはなりませんでしたが、前回のアテネ大会に続き、なでしこジャパンが日本女子サッカーの歴史にまた新たな1ページを刻んでくれました。アメリカ、ノルウェー、ドイツといった世界トップチームに互角に渡り合ったことは、ベスト4でも余りあるものがあったと思います。体格差をものともせずに果敢に挑んでいく姿勢、最後まで決して諦めることのないひたむきさに、多くの人が胸を打たれたのではないでしょうか。
 16日間に6試合の真剣勝負というハードスケジュールにもかかわらず、試合を重ねるごとに勢いを増していったなでしこの選手たち。初戦のニュージーランド戦、不可解な判定も見受けられましたが、それに影響されることもなく冷静に戦っていた。0-2から同点に持ち込んだ頑張りがその後の試合すべてにつながったと思います。そしてアメリカ戦での惜敗を吹き飛ばすノルウェー戦での凛々しい戦いぶり――コンパクトな試合運びや体力差を補う頭脳プレーは、次の中国との準々決勝でも随所に見られ、そのスタイルを完璧に身に付けたことが表れていました。
 準決勝では再びアメリカと対戦。連戦の疲れもあったのでしょうが、世界ランク1位(2008年7月現在)のチームを相手に、体力の差が如実に出ました。ドイツとの3位決定戦では男子同様、ペナルティエリア内での仕事がきちんとできなかったことが結果になって表れたと思います。それでも、5~6年前のなでしこは、アメリカやドイツにとって相手になるようなチームではなかった。それが今回のオリンピックでは、むしろ強豪チームより良いサッカーをしていましたよね。
 FIFAの役員たちはなでしこの戦いぶりを高く評価しており、ブラッター会長なんかは、「日本にメダルをあげたかった」と大絶賛。欧米の選手と比べると体格の差は歴然なんですが、それを補う、組織的でアグレッシブな戦い方に多くの人たちが可能性を感じたと思います。とにかく、決して諦めないなでしこの信念がベスト4という好成績につながったと思っています。
 男子は残念ながら一勝もできずグループリーグで終わってしまいましたが、それでもアメリカ、ナイジェリア、オランダという世界強豪を相手に1失点に抑えたというのは、裏を返せば惜しい戦いをしているというレベルまで来たということだと思います。もちろん、悔しいですし、この1点の壁が厚いということを痛感させられたのも事実。しかし、具体的にどう強化させるかが明確に見えたので、すぐに対応できるかは別として、日本代表も同じ意識に立ち、最終予選に臨むにあたってその課題を克服すべく真剣に取り組んでいきます。

いよいよFIFAワールドカップアジア地区最終予選

 10日後には、いよいよアジア地区最終予選が始まります。予選リーグはこれまでの6試合から8試合に増えました。前回より2試合多くあるとは言え、引き分けでいいという試合は一つもありません。全て勝ちに行く気構えで臨まなければ!それには、“個”で負けないことが一つ、そして、9月6日の初戦で勝つことが何よりも重要になると考えています。
  オリンピックを見てわかる通り、上位に食い込んだチームはゴールへの執念がにじみ出ていました。その点では、U-23日本代表は“何が何でも勝ちに行く”というサッカーになっていなかった。そこが決勝トーナメントに進出できなかった一つの要因だと思います。
 ワールドカップ予選は、とにかく勝たなければなりません。世界のどんな最強チームでも予選敗退という経験はしており、いずれ、そういう時が日本にもやってくるかもしれません。しかし、もし、出場できないとなると、次のワールドカップまで6年空いてしまい、その間に世界に取り残されてしまう可能性がある。それを考えると、何としても本大会の出場権は獲得しなければならないですよね。そういう意味では、4度目は出場するだけで満足するのではなく、次のステージに躍進するまでにならなければと思っています。
  さて、その最終予選での躍進をにらみ、日本代表は先週(8月20日)のキリンチャレンジカップで南米の雄・ウルグアイと対戦しました。ウルグアイも6日に南米予選の初戦が控えているとあって、真剣勝負で臨んでくれました。親善試合であれだけシビアに戦ってくれたチームは過去にもないんじゃないでしょうか。まさに強化試合となりました。
 ウルグアイは90分間終始、日本にプレッシャーをかけ、前へ前へというサッカーで日本を翻弄しました。日本にとっては、課題が典型的な形で露呈したゲームでした。日本の選手は自らの問題点を肌で感じたでしょうし、ウルグアイのような強いチームにどう臨んでいくべきか課題を明確に持ったでしょう。
  先のEURO2008も北京オリンピックもそうですが、世界のサッカーは刻々と進歩している。ガンガン縦にパスを出していて、それもあっという間にペナルティエリアに侵入てくる。それには、それぞれの選手が多彩な動きをし、それが連動していなければできないわけで、その進化たるや4年前のドイツ大会の時とは明らかに変わってきていますね。日本も中盤で素速くパスを回して相手のペナルティエリア前まで行くことはできるようになったのですが、その後の詰めができない。縦を狙う選手がいないし、ペナルティエリアに入ってからまだ横パスを回していう選手がいるんですからね。これにはガッカリですよ。そういうプレーが、サッカーを知っているチームには通用しないことがはっきり分ったでしょう。次はそんなことが許される戦いではありませんから、メンタル面を含めて強い姿勢で臨んでくれると思っています。
  岡田監督もかなりのプレッシャーを感じていると思いますが、それは日本代表監督の宿命。JFAとしては全面的に彼をバックアップしていく考えです。
  ファン・サポーターの皆さんの応援は、選手たちにとって良いプレッシャーであり、大きなエネルギーになります。是非とも熱い応援をお願いしたいと思います。