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国際交流・支援活動

【海外赴任レポート】 北マリアナ諸島 関口 潔さん 2011年7月

【プロフィール】

関口 潔(せきぐち・きよし)

1969年1月15日生まれ。東京都八王子市出身。
高校時代は読売クラブユース(現東京ヴェルディユース)、大学時代は早稲田大学、社会人時代はエリースFCでプレー。2002年に公認B級コーチ、2004年に公認A級コーチライセンスを取得。
(株)リクルートから、(財)日本サッカー協会に転職し、1995~1999年に事業部で国際試合の運営や天皇杯などを担当。 2000~2005年まで技術部で主に指導者養成事業を担当。その後、2005~2008年に横浜FC(Jリーグ)強化育成部長、2008~2009年は 同クラブの常務取締役を経て、2010年4月より北マリアナ諸島サッカー協会代表監督兼技術委員長として活動中。


~派遣国・地域の紹介 : 北マリアナ諸島~
北マリアナ諸島は、アメリカの属領・保護領で、ミクロネシアのマリアナ諸島のうち、サイパン島、ロタ島、テニアン島など14島から成る。 日本から、飛行機でわずか3時間半。公用語は、英語、チャモロ語およびカロリニアン語。通貨はUSドル。 人口は約6万人。面積は477平方mで、ちょうど山手線1周くらいの大きさ。熱帯性気候で年間平均気温は27度。気温や湿度の変化がほとんどなく、 一年中海に入ることができる。アメリカ人(先住民のチャモロ人・カロリン人含む)以外にもフィリピン人・中国人・韓国人・日本人などの外国人も多い。
FIFA未加盟

北マリアナ諸島のサッカーの現状

 北マリアナ諸島サッカー協会は、サイパン島にあり、2005年に設立されたばかりの新しい協会です。 2008年に東アジアサッカー連盟(EAFF)に正式加盟し、2009 年にアジアサッカー連盟(AFC)準加盟を認められました。
 アメリカの保護領ということもあり、島ではサッカーよりもバスケットボールや野球、テニス、陸上などのスポーツが盛んで、 街中にはバスケットボールコートやテニスコートを見かけます。
 サッカー協会が設立されてから、子どもたちのサッカー競技者が増え、現在では1,000 名を超える選手が登録しています。 特に、女性の登録者数が半分を占めていることが特徴と言えます。
 島には、6 つのクラブチームが存在し、U-6、U-8、U-10、U-12、U-15 男子、U-15 女子、U-18 男子、男子大人、 女子大人のカテゴリーに分かれてリーグ戦が行われています。

今までの活動

(男子代表チーム)
 代表選手といっても全員がアマチュアで、年齢や身分も10代の高校生から40代の弁護士まで幅広い。 成人のサッカー経験者が少なく、「アメリカ国籍を有するサッカー経験者」を招集するのには苦労します。 しかし、昨年行われたマリアナズカップ(グアム代表との定期戦)では、1-1という初めての引き分けにサイパン島は盛り上がりました。

(女子代表チーム)
 男子同様全員がアマチュアで、選手のほとんどは学校の先生です。昨年のマリアナズカップでは0-1 でグアムに敗れましたが、 点差以上にまだまだ実力差があります。今年4 月に東日本大震災の被災地支援を目的としたチャリティーマッチをサイパンで開催し、 慶應義塾大学女子サッカー部と親善試合を行いました。チャリティーという目的以外にも、代表強化、 そして島の子どもたちに日本のレベルの高いサッカーを見せることができ、普及活動にもつながりました。

(U-15 男子代表チーム)
 サッカー協会が設立された2005 年当時U-8 だった選手たちが、いわゆるゴールデンエイジにサッカーをしていたため、 将来的に期待が持てる年代です。今年7 月に台湾で開催されるEAFF U-15 ユーストーナメントに向けて強化を進めています。

(小学校巡回指導)
 競技者を増やすために、小学校での巡回指導を始めました。初めに、教室でFIFA ワールドカップのDVD を見せながら 「世界で一番人気があるスポーツがサッカーである」ことを伝え、ゴールシーンなどを見せます。 その後、校庭に移動してボールを蹴ります。校庭ではとにかくボールに触りたいという欲求が強く、楽しそうにボールを追いかけます。

(コーチングコース)
 島には、私を除き、有資格指導者が3 人しかいません。そこで、クラブでボランティアコーチをしている人たちを対象に 1Dayコーチングコースを開催しました。

課題と今後の活動

 施設の整備、指導者・審判の養成、代表強化、競技の普及など、やるべきことは山積みですが、中でも一番力を入れなければいけないことは、 サッカー競技者を増やすことだと考えています。
 競技者を増やし、常に勝ち負けを競い合う環境をつくることが、スポーツの発展には欠かせません。 サイパン島では、子どもたちがさまざまなスポーツを楽しむ環境があり、日本のように一つのスポーツだけをやるわけではありません。 そのため、スポーツと初めて接する8~12歳の年代に、重点的にアプローチすることで、サッカーの普及を推進していきたいと考えています。
 また、現状ではサッカーをするためには、サッカークラブに入るしかないのですが、クラブで練習をするには保護者の車での送迎が不可欠です。 その結果、地元の経済的に貧しい子どもたちがサッカーをする機会を持てない、という問題を抱えています。 その一方で、クラブでサッカーをしている子どもたちの多くは18歳になるとアメリカ本土の大学に進学するため、島から離れてしまいます。 よって、北マリアナ諸島のサッカーの未来を考えると、島で一生を過ごす地元の選手をたくさん輩出し、 サッカーの普及・発展に尽力してくれる人材を養成していく必要性を感じています。