JFA|日本サッカー協会  Japan Football Association
JFAへの登録リンクENGLISHRSS

国際交流・支援活動トップに戻る
国際交流・支援活動

【海外赴任レポート】 グアム 築舘 範男さん 2009年11月

【プロフィール】

築舘 範男(つきたて のりお)

愛知県出身。
1960年4月2日生まれ。
愛知県立豊田西高校卒業後、当時の日本サッカーリーグ(JSL)2部、トヨタ自動車工業サッカー部でプレー。その後、同サッカー部コーチを経て、1992年に名古屋グランパスエイト(当時)のトップチームコーチに就任。同チームユース(U-18、U-15)強化責任者、スカウトを経て日本文理大学付属高校(大分県)監督として指導。2002年より清水エスパルスユース監督に。2005年2月よりグアム代表チーム監督に就任。


~派遣国・地域の紹介 : グアム~

スペイン、アメリカ、日本の統治を経て、1950年にアメリカの自治属領(準州)となり、現在に至る。日本の南東約2,500kmに位置し、面積は約549平方キロメートルで、日本の淡路島とほぼ同じ大きさ(以上、グアム政府観光局HPより)。
主な産業は観光業(旅行者は日本人、韓国人が主)。
FIFAランキングは186位(2009年10月現在)

1.東アジアサッカー選手権準決勝大会を終えて

 2005年2月にグアムへ赴任し、5年目を迎えた今年(2009年)、2010年の東アジアサッカー選手権の予選が3月にグアムで、引き続いて準決勝ラウンドが8月にチャイニーズ・タイペイの高雄で行われました。
 FIFAランキングでは下位のグアムが、予選ラウンドでモンゴルに勝ち、マカオに引き分け、A代表で公式大会における初めての勝点を挙げることができました。準決勝ラウンドに進出し、朝鮮民主主義人民共和国、香港、チャイニーズ・タイペイと対戦し、3連敗を喫してしまいましたが、朝鮮民主主義人民共和国とチャイニーズ・タイペイからそれぞれ2点を奪い、わずかながらの抵抗をしたことが大変うれしく感じられました。
 まずはここで、今まで粘り強くグアムを支援してくださったJFA関係者の皆さんや、われわれが日本遠征時にお世話になったJヴィレッジや福島県サッカー協会の皆さん、さらには練習試合でお世話になったJクラブや大学関係者の方々に誌面を借りて御礼を申し上げます。

 さて、大会を終えての総括ですが、2つのことを選手に教えられた気がします。1つ目は「継続は力なり」、2つ目は「サッカーをするのは人である」の2点です。
 今年のA代表の平均年齢は19.7歳です。まるでU-20の大会のようですが、これが今のグアムのベストメンバーです。ほとんどがアメリカの大学生で、2005年に私が赴任したときのAFC U-16選手権予選に出場した選手たちです。その後、彼らはアメリカの大学へ進学するまでJヴィレッジでのトレーニングキャンプやAFC U-19選手権予選など、数々の経験を積んできました。中学生の選手がA代表になるまで継続した努力が良い結果を生んだことに間違いありません。「競技サッカーのメンタリティー」を植えつけることがこの時間と継続によって生まれたのだと私の中で信じています。
 「プレーの責任」「試合に対する準備」「パフォーマンスへのマイナス行動の抑制」など、純粋に取り組んだ選手たちの勝利でした(選手と指導者の間には多くの戦いもありました)。以前は練習の優先順位は低く、家族、パーティー、恋人などに押さえ込まれて最下位でしたが、粘り強く選手や家族に問いかけることで練習の優先順位が上がり、夜遊びや酒、タバコのたぐいにも手を出す選手も減りました。国を代表して戦うプライドも芽生えました。とにかく小さな継続した努力や行動がグアムの歴史を変えることにつながったのです。
 また、この5年間には日本では考えられないような選手が多々いたことも事実です。多くの選手に裏切られ、人間不信に陥りそうになるのですが、選手とコーチがお互いに尊敬しあうことの重要性を感じました。所詮人間です。私が感じていることは先方(選手)に以心伝心するものです。私がいかに頭を切り替えて怒りを抑え、人として接することができるのかが選手の動機づけや向上心を大きく左右することを、この歳になって選手に教えられました。
 グアムでは選手数に限りがあります。この選手たちを育てるほかに手はないのです。昔は「プロの世界の中で駄目な選手は代わりを探せば良い」。そうした考えで人を粗末にする行動になりがちだった自分を戒めてくれた気がします。
 いずれにしても以上の2点について私の経験からの勝手な言い分ですが、この先いつも「おかげさまで」という気持ちを忘れることなく、サッカーの指導に携わりたいと思います。
 最後に、グアムでは腹が立つことが多いのですが、こんな自分を鍛えてくれたグアム島に感謝です。