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国際交流・支援活動

【海外赴任レポート】 バングラデシュ 山口 敬宣さん 2012年9月

【プロフィール】

山口 敬宣(やまぐち・よしのぶ)

1978年4月29日生まれ。京都府京都市出身。
幼稚園時代からサッカーを始め、以後全国各地の学校を転校しながらも、サッカーを続ける。北海道立札幌南高校を卒業後は神戸大学へ進学。その後、筑波大学大学院の体育研究科コーチ学専攻で勉学に励む。指導者として、つくばFCジュニアユースでコーチを経て、横浜FCサッカースクールのコーチ、つくばFCサッカースクールのスクールマスター(スポーツ普及事業部長)を歴任。その間にドイツ8部リーグのOSV Meerbuschで選手としてプレーした経験を持つ。2011年9月にバングラデシュに派遣され、国立スポーツ学院でサッカーのコーチを務めている。取得ライセンスは、JFA公認B級コーチ、公認キッズリーダーインストラクター。


~派遣国・地域の紹介 : バングラデシュ人民共和国~
南アジアの共和制国家。東、西、北にインドと国境を接し、南はベンガル湾に接する。首都はダッカ。面積は日本の約4割の14万4,000平方km。1億4,231.9万人の人口の大部分がベンガル人であり、公用語はベンガル語。宗教はイスラム教徒89.7%、ヒンズー教徒9.2%、仏教徒0.7%、キリスト教徒0.3%(以上、外務省ホームページを参考)。
FIFAランキング:170位(2012年9月5日発表時点)

 現在、私はJ I C A(国際協力機構)の青年海外協力隊として、BKSP(バングラデシュ国立スポーツ学院)にてサッカーのコーチをしています。任期は2011年9月〜2013年9月の2年間で、執筆現在(2012年8月)でおよそ1年が過ぎようとしています。

バングラデシュサッカーの現状

 国内1番の人気スポーツはクリケットで、その次にサッカーが人気です。この2つのスポーツは全国規模のプロリーグがあり、サッカーはバングラデシュ・プレミアリーグと呼ばれています。ナショナルチームは2003年に南アジアサッカー選手権で優勝するなど、以前は南アジア内では強豪だったのですが、現在は下位に低迷しています。
 国中の広場や空き地では、クリケットをしている子どもたちが大半で、サッカーをしている子はまれです。ただ、2 0年前まではむしろサッカーを主にやっており、全国各地のローカルリーグも盛り上がっていたそうです。

BKSPの概要

 私の任地であるB K S P(ベンガル語でBangladeshKrira Shikkha Protishtan)は1986年に創設された、バングラデシュを代表するインターナショナルレベルのスポーツ選手を育成するための学校です。全国5カ所に分校がありますが、BKSPダッカ本校は全寮制で、全校生徒は約500人います。12種目の部があり、サッカー部はクリケット部に次いで規模の大きな部活です。現在、サッカー部にはBKSPダッカ本校と2つの分校の生徒がいて、生徒1 2 7人とコーチ陣1 0人(ベンガル人8人、インド人1人および私)が在籍しています。
 学年編成は、日本でいう中学・高校生程度です。しかし、受験浪人も留年もありますので、14歳で入学したり、20歳で卒業する生徒もいます。

BKSPの国内での位置付け

 毎年、サッカー部に入るために全国から500人程度の受験者が集まり、15~25人程度が合格するという、国内では唯一のスポーツエリート校です。BKSPからは、U-14〜U-22年代のナショナルチームにそれぞれ3〜10人程度を毎年送り出しています。現在のA代表にもBKSP出身の選手が3人います。また、上級生の数名は、日本でいう特別強化指定選手のように、BKSPに所属しながら国内プロリーグに登録してプレーしています。

私の主な活動について

 私の派遣された目的は、BKSPのサッカー部の選手をインターナショナルレベルに育てることです。赴任半年間で、全ての学年を担当してきましたが、そこで分かったことは大きく2つありました。それは「国の年齢別代表選手になるが、他国に劣るサッカーである」ということと、「特定の選手は成長しているが、落ちこぼれも多く、全体としての成長が乏しい」というものでした。
 それを踏まえて、選手がより成長するために、現地のコーチたちと議論を続けてきたテーマは大きく2つです。1つ目は「コーチ自身が成長すること」。2つ目は「コーチ陣が共通の指導方針の下にコーチングをすること」。私の指導哲学の中に、“選手は指導者の映し鏡である”という考えがあります。ですから、努力やチームワークの重要性を指導者が選手に教えるためには、まずは自分たちから行わなければならないということを訴えています。
 そのためのアプローチは、試行錯誤の中、いくつか行っています。最も大切にしているのは、指導者・選手間でのコミュニケーションを学び、自分もその中に入ることです。さらに言えば、個人を知り、指導者・選手間の関係を知り、その上で指導者にも選手にも私を認めてもらい、さらに私も相手を認め、共に成長するという姿勢を持ち続けることを大切にしています。今までの一番の成果は選手の実質的な成長というよりも、私「YAMA」という一人のコーチがBKSPの一員になったことかもしれません。

今後の計画・目標

 指導者の成長や指導方針 の明確化をより促進するためにも、今後主として2つのアクションを準備しています。1つ目は、BFF(バングラデシュフットボール連盟)との共通指導者講習会。3カ月前にBFFのコーチングスタッフに対して、JFAキッズプログラムを紹介したことがあり、次回も日本オリジナルの指導を紹介してほしいというニーズがあります。ですから、次回はBKSPのコーチ陣も交じえ、さらには日本から指導者を招聘(しょうへい)して、講習会を開きたいと思っています。
 2つ目は、日本への選手・指導者の派遣です。日本サッカーの今を見て、実際に肌で感じ、経験して、自分たちの目標と現実を分析してもらいたいです。

夢の実現に向けて

 私に対して、「代表選手になって、国のため家族のためにプレーしたい」「もう一度バングラデシュが、サッカーの盛んな国になってほしい」という夢を語ってくれる現地の選手や指導者は少なからずいます。ただ、まだまだ夢の実現のためにどうしたらいいのか分からず、諦めたり、現状で満足している人が多いと感じます。ですから、私との日々の生活やさまざまなアクションをきっかけに、彼らが夢を育み、その夢の実現に向かうために、私はその手助けをこれからもしていきたいです。