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国際交流・支援活動

【海外赴任レポート】 北マリアナ諸島 山中 亮さん 2011年11月

【プロフィール】

山中 亮(やまなか・あきら)

1969年7月11日生まれ。愛媛県大洲市出身。
高校時代は愛媛県立大洲高校でプレーし、その後、東京学芸大学に進学。サッカー部に所属する。卒業後、愛媛県内の公立中学校で教べんを執る傍ら、サッカー部を指導。1999年~2004年愛媛FC(当時はJFL)コーチ、2003年~2006年GKプロジェクトメンバー、JFAナショナルトレセンコーチ、2004年~2006年サンフレッチェ広島F.C U-15GKコーチ、2006年~2009年愛媛FCトップチームGKコーチ、2009年~愛媛FCアカデミーGKコーチ。2011年7月北マリアナ諸島コーチ派遣。
保有ライセンスは、JFA公認A級コーチ、JFA公認GK-A級コーチ、The Scottish Football Association Goalkeeping Certificate、The Football Association Goalkeeping Coaching B Licence。


~派遣国・地域の紹介 : 北マリアナ諸島~
北マリアナ諸島は、アメリカの属領・保護領で、ミクロネシアのマリアナ諸島のうち、サイパン島、ロタ島、テニアン島など14 島から成る。日本から、飛行機でわずか3 時間半。公用語は、英語、チャモロ語およびカロリニアン語。通貨はUS ドル。人口は約6 万人。面積は477 平方m で、ちょうど山手線1 周くらいの大きさ。熱帯性気候で年間平均気温は27 度。気温や湿度の変化がほとんどなく、一年中海に入ることができる。アメリカ人(先住民のチャモロ人・カロリン人含む)以外にもフィリピン人・中国人・韓国人・日本人などの外国人も多い。
FIFA 未加盟

目的

 現在、北マリアナ諸島には、アジア貢献事業の一環として、日本サッカー協会(JFA)より関口潔氏が代表監督として派遣されている。今 回は、U-15 ナショナルチームがチャイニーズ・タイペイで開催される国際大会出場に合わせたチーム力の向上を目的とした派遣であり、ゴールキーパー(GK)の強化を中心としたものであった。
 また、GK に対する専門的トレーニングを行う機会が十分ではない北マリアナ諸島において、GK に着目したクリニックやトレーニングをU-15 ナショナルチームのトレーニングとは別に開催し、GK 育成に対する活動の実施も目的とした。

派遣期間と内容

2011年7月5日~14日
(1)U-15 ナショナルチーム
7月5日~13日
ミーティング、トレーニング、トレーニングマッチ
(2)GK クリニック
① 7月9日(U-12、13 歳以上)
U-12:20 名、13歳以上:30 名参加
② 7月13日(トッププレーヤー向け6 名参加)
(3)サッカークリニック
7月13日(U-12:20 名参加)

実施内容

(1)U-15 ナショナルチームに対するトレーニング
 U-15ナショナルチームのGK2 人に対して、午前と午後の全体トレーニング終了後、GKトレーニングを30 分程度行った。内容は、「構え」「キャッチング」「ポジショニング」を中心に行い、基本技術および戦術をドリル形式で身につけていけるような内容が中心であった。国際大会を控えていることもあり、セットプレーのトレーニングを行い、チーム全体でゴールを奪ったり守ったりするチーム戦術を習得する機会とした。チーム全体への働き掛けとしては、「チャレンジ&カバー」「ダイレクトプレー」の意識を習得させていく作業となった。

(2)GK クリニック
U-12
 参加者のほとんどは、普段GK を経験したことのない子どもたちであった。GK 経験者は2 人程度であったため、ボールフィーリングを重視した内容で行った。手でボールを扱いながら、自分の体をコントロールしていくようなコーディネーションのメニューや、ドッジボールをアレンジした競争をとり入れたゲームで、楽しさを多くとり入れた内容を実施した。

13歳以上
 参加者は、U-12 のときと同じように、普段GK を経験したことのない参加者が多かった。さらには、13歳から43歳という年齢の幅があり、非常に難しいセッションとなった。内容としては、「ボールフィーリング」「構え」「キャッチング」を中心に伝えた。「ローリングダウン」「ダイビング」については、紹介や熟練者のデモンストレーションを行ってもらうことでイメージを伝えた。

トッププレーヤー向けGK クリニック
 北マリアナ諸島のトップレベルといわれる選手に対してのクリニックを行った。このクリニックは、北マリアナ諸島FA の会長であるJerry Tan 氏のたっての要請のもと行うこととなった。参加者は、北マリアナ諸島ナショナルチーム代表選手をはじめとする、男女含めて6名が参加した。
 選手たちはフィジカル的に恵まれた体格をしており、非常に身体能力が高かった。一方で、基本的な技術や戦術については、初めて耳にすることがほとんどであるようで、非常に興味深く取り組んでくれた。ここでは、「構え」「構えのタイミング」「ポジショニング」などを、ゲーム状況を例に出し、理由を明確にしながら伝えていった。双方向のコミュニケーションを重要視し、通訳を介してのディスカッションをとり入れながら行ったため、有意義なセッションとなった。GKを指導できる指導者を養成していくためにも、継続的な活動が望まれる。

活動を実施して

 日本と比較すると、U-15 ナショナルチームとしての技術・戦術レベルは、高いとは言い難い状況である。しかし、選手のパーソナリティーは強く、トレーニングの途中でも「なぜそのようなプレーをすることが必要なのか」という理由を知ろうとする場面が見られた。また、その理由を理解すると、理解した部分をゲームでやってみようとトライする場面も多かった。また、サッカーの「楽しさ」を、自分たちが技術的・戦術的に向上するために、100%トライして課題を克服していくような「楽しさ」に向上させていく場面では、その時期に開催されていたFIFA 女子ワールドカップのアメリカ対ブラジル戦のア メリカの活躍や、10 人で戦って最後に勝利を収めた努力について触れ、ピッチの上で100%トライする態度の重要性を伝えていった。そのようなミーティング後は、トレーニングやゲームの中で簡単に諦めるプレーも減り、取り組みの土台が確立していった。
 サッカークリニック、GK クリニックを実施するにあたっては、参加者の積極的な姿、グラスルーツ活動の充実が見られた。U-12の選手たちの中には、日本の同年代の選手のレベルと比較しても遜色のない選手も見られた。GK に対するネガティブなイメージもそれほど存在せず、男女を問わず、興味を持って参加していた。中には、ノースリーブで参加する選手もいたが、楽しんでプレーを行っていた。GK に対する情報も少ないが、ネガティブなイメージも少ないため、その感覚をアドバンテージとした普及活動が有効であると考える。
 選手たちを取り巻く環境に触れてみると、北マリアナ諸島FA は発展途上であるが、さまざまな方面からのサポートによって活動が成立している。ナショナルチームのトレーニングの選手の送り迎えは全て保護者が行っていたり、優先的に芝生のラウンドを使用させてもらったりと、人々の熱い思いがFA や代表チームの活動を支えていた。代表チームの結果を活動に関わる全ての人々が気にかけており、FAや北マリアナ諸島に対するナショナリズムを感じることができた。日頃のグラスルーツからの活動が機能してきていたり、若年層のレベルアップが実を結んできていることを考えると、JFA が行っているアジア貢献事業のFA への貢献がうかがえた。
 今回、北マリアナ諸島への短期派遣に関わらせてもらい、サッカーを根付かせていくことの重要性を再認識することができた。それは、サッカーの発展は関わる人々の熱い思いが原動力であることであった。今後、どのようなレベルにおいても、熱い思いが原動力になっていくことは間違いのないことであると確信できる派遣であった。
 この派遣後に行われたEAFF U-15 国際大会において、関口監督率いるU-15 北マリアナ諸島代表は、FA 始まって以来の国際大会での勝利を収めることができた。このような歴史的な出来事に関われたことはとても光栄であり、今後の北マリアナ諸島FA のさらなる発展を祈念し、結びにしたい。