JFA|日本サッカー協会  Japan Football Association
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2014.01.01
第7回 2014年、次なる飛躍に向けて、"変革"のスタートの年に

公益財団法人 日本サッカー協会 会長 大仁邦彌

SAMURAI BLUE(日本代表)、昨年の振り返りと期待

 さて、まずは皆さんの大きな関心事であるFIFAワールドカップブラジル大会ですが、日本は世界最速で本大会の出場権を獲得した後、コンフェデレーションズカップに参戦し、その後、東アジアカップで初優勝。そして、キリンチャレンジカップを経て欧州に遠征し、セルビア、ベラルーシ、ベルギー、オランダと対戦しました。コンフェデレーションズカップはもちろんですが、強化試合でも今までにないほどの強豪チームと、しかも欧州、南米、アフリカ、北中米と、いろいろなタイプのチームと戦えたことは大きな収穫でした。
 それともう一つ、EAFF東アジアカップを、Jリーグでプレーする選手だけで戦って初制覇したことも成果として挙げられます。若い選手も加わってチームが活性化し、選手も大きな自信を手にしたはずです。非常に価値ある優勝でした。

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 強豪国との戦いを重ね、日本のサッカーのスタイルというのができたように感じます。 "負けないサッカー"から、"勝ちにいくサッカー"になってきた。これは大きな進化です。ザッケローニ監督の手腕もさることながら、技術委員会や現場のスタッフ、そしてそれを支える事務局と多くのサッカーファミリーの力が結集した結果だと感謝しています。
 グループステージの組み合わせも決まり、これから本大会に照準を当てた強化に入ります。世間では楽観的な見方をしている人が多いようですが、世界最高峰の舞台はそんなに甘くはありません。コロンビアは優勝候補の一角に挙げられますし、コートジボワールはアフリカトップのチームで、やはり、あのアフリカ特有の高い身体能力は脅威です。ギリシャに関しては、ヨーロッパ予選のプレーオフを見ましたが、非常に激しいサッカーをしていました。フィジカルが強く、特に守備が強固で、縦へのスピードも速い。相当頑張らないと、グループステージ突破は厳しいと思います。まずは、初戦。そこがカギを握りますので、コートジボワール戦に向けて万全の準備を整えていきたいと思っています。

各カテゴリー代表への期待

 今年は、SAMURAI BLUEに先駆けてU-17日本女子代表が世界大会に出場します。2010年大会に準優勝を収めているだけに期待が高まります。
 一方のなでしこジャパンは、次のFIFA女子ワールドカップ出場権を懸けたAFC女子アジアカップが控えています。前回の女子ワールドカップで優勝して女子サッカーに対する認知が高まり、登録数もカテゴリートップの伸びを示していますが、それをさらに広げ、地盤を固めるためにも、少女たちの憧れであるなでしこジャパンに頑張ってもらわないといけません。アジア8チーム中5チームが本大会に出場できますので、出場権獲得は当たり前。世代交代をうまくやって2015年のカナダ大会では2連覇、最低でもトップ3に食い込む活躍をみせてほしいと期待しています。
 男子のアンダーカテゴリーでは、2016年のリオデジャネイロオリンピック出場を目指すU-21日本代表が、手倉森誠監督の下に本格的に始動します。本大会の予選は2年後になりますが、今月中旬にAFC U-22選手権が、9月にはアジア競技大会が控えています。U-19世代もそうなんですが、この年代はJリーグでなかなか出場機会に恵まれず、厳しい戦いの中での競争がコンスタントにできていないんですね。そこでU-22の選抜チーム(JリーグU-22選抜)を編成し、あらたにスタートするJ3で実戦を積んでいくことになっています。すぐにとはいきませんが、良い成果が出るのではないかと思っています。
 U-19、U-16日本代表もそれぞれワールドカップ出場権を懸けたアジアの戦いに挑みます。U-19世代は3大会連続で世界大会を逃しており、私も非常に危機感を持っていますが、昨年就任した鈴木政一監督に強化を一任し、アジア突破を目指します。ジュビロ磐田や日本体育大学の監督を務めた鈴木監督の豊富な指導経験に期待しています。
 U-16世代は引き続き、吉武博文監督が指揮を執ります。U-19もそうですが、この年代の指導者というポジションは、プロチームの監督になるためのステップではなく、その道の専門家である必要があると思っています。特にユース年代は指導者の影響が大きく出ますし、心身の成長著しい年代ということから考えても専門的な知識とスキルが必要。教鞭を執っていた経験もある吉武監督にはユース育成のプロとして、その経験とノウハウを生かしてもらいたいと思っています。

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 SAMURAI BLUEしかり、2012年のロンドン大会に出場したU-23代表チームしかり、簡単にアジア予選を突破して世界大会の切符を手にしたわけではありません。現在、日本サッカー協会(JFA)はアジアのサッカー貢献の一環として、東南アジアの新興国に指導者や審判インストラクターなどを派遣し、その国のサッカーの普及や育成、強化担ってもらっていますが、やはりアジア全体が向上しないと日本のレベルも上がらない。各国が力をつけ、アジアの戦いはこれからますます厳しくなるでしょうが、アジア全体の発展が日本を強化させ、世界の強豪と比肩する実力を備えつけることになるのです。

普及と育成、今後の強化

 昨年末、AFCアニュアルアワード2013でJFAは記念すべき第1回のグラスルーツ賞を受賞しました。トレセンやキッズプロジェクトなど、都道府県協会をはじめとする多くの人びとが草の根の活動に力を注いできた結果だと感謝しております。
 私が会長就任時に掲げた目標の一つである女子サッカーですが、昨年立ち上げたなでしこひろば(詳しくはこちら)が好評を博しており、これが中学生年代の普及・育成にもよい影響を与えればと期待しています。
 昨年は、お台場でビーチサッカー日本代表の親善試合を行い、多くの人が応援に駆けつけてくれました。また、新たに創設したエンジョイ5(詳しくはこちら)も盛り上がりましたし、シニアサッカーもますます盛んになっています。シニア層については、日本スポーツマスターズの対象年齢が「35歳以上」に引き下げられたことに伴い、JFAは40歳以上の大会を創設。35歳から40歳、50歳、60歳、そして70歳以上のフェスティバルと、生涯を通じてプレーできる場が整備されました。高齢化が加速していますが、健康寿命を伸ばすためにも草の根の環境を整えていく必要があると思っています。

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 東京都をはじめ、政府、スポーツ界が総力を挙げて取り組んだ2020年のオリンピック・パラリンピック招致活動も大成功を収め、7年後に東京で開催されることが決まりました。自国開催ですから当然、メダルが期待されるわけで、対象となるU-16世代の選手たちに高い意識を植え付けながら、今後の強化策や大会開催を成功させるための態勢を整えていきます。
 2020年のオリンピック開催が決まったことで、当初、立候補を考えていた2019年の女子ワールドカップを白紙に戻し、代わって2023年大会に手を挙げる方向で理事会の承認を得ました。2019年は、男女ともにオリンピックの強化に専念することにしたいと思います。
 本田圭佑選手がACミランに移籍しましたが、今後、海外でプレーする選手が増えていくことを考えると、強化の方針も見直す必要性が出てくると思っています。2018年のワールドカップ(ロシア)に向けた強化については、ブラジル大会の結果を分析してから方針が出されるわけですが、今後は海外での試合を増やしたり、海外で合宿を行うといったことも考えていく必要があるでしょう。
 それと、日本代表の源泉であるJリーグ。ここが発展しない限り、良い選手も出てきません。高いモチベーションを維持し、全力を出し切って戦う厳しいリーグになってほしいですね。各クラブのサポーターの皆さんは、チームへの叱咤激励をお願いします。

組織の強化

 昨年7月にJFAハウスで、アジア初となるFIFA/INTERPOLインテグリティワークショップを開催しましたが、違法賭博による八百長はスポーツの尊厳を揺るがす深刻な問題です。JFAもインテグリティ協議会を立ち上げ、私がリーダーとなって今後の対策を講じていきます。アジアは八百長の温床にもなっていますので、日本で起こっていないからといって安閑とはしていられません。アジアをリードする協会としても、リスペクト教育を含めてガバナンス、コンプライアンスを徹底し、関係各所と連携を取りながら万全な体制を構築していく方針です。

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 前述したアジア貢献しかり、JFAこころのプロジェクトやグリーンプロジェクト、復興支援活動といった社会貢献活動しかり、やるべきことは数多あります。特にJFAこころのプロジェクトについては各地の自治体や教育委員会が高く評価してくださり、昨年は延べ1066件と前年の倍近い実績を挙げました。しかし、その一方で、本活動の信頼性をそこなうような不祥事もありました。今後は、あらためてユメセンの研修にも力を注ぎ、資質向上を目指します。
 JFAこころのプロジェクトは小学校5年生を対象に行っていますが、中学2年の思春期の子どもにも大事ではないかという意見もあり、そういったところにも広げたり、海外での開催も積極的に増やし、プロジェクトの拡大とプログラムの充実に努めていく考えです。

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 そしてJFAは、今年4月から新しい登録システム「Jエントリー」を導入。また、フットサルのチーム登録とエンジョイプレーヤー登録も始まります。
 ご存知のようにJFAは「JFA2005年宣言」で、"2015年には世界でトップ10の組織となり、サッカーファミリーを500万人にする"(JFAの約束2015)ことを謳っています。その約束の期限が近づいていますので、これまでの検証をしつつ、2015年からの中長期目標を策定するべく動いています。
 さらに来年は、FIFAの理事選も控えており、JFAとしては何としても田嶋幸三副会長をアジアの代表理事としてFIFAに送り出したいと考えています。ですから、今年はそれに向けた活動にも力を注ぎます。
 12月の理事会で、空位だった専務理事の職に原博実理事(技術委員長)が就くことに決まりました。ワールドカップが終わるまでは技術委員長と兼務となりますが、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 この20年でJFAの財政基盤も大きくなり、事務局のスタッフも年々増えています。ともすると縦割りの業務になり、組織の一体感というのも薄れがちになる懸念があります。現在、JFAは、「JFAリフォーム」と題して、FIFA(国際サッカー連盟)の「FIFA Standard Statutes」に合わせた組織改革に着手、様々な角度から組織の在り方や体制そのものを見直し、よりよい組織にすべく議論を重ねています。スタッフ研修などにも力を入れながら、高い意識と自覚、責任感を持って取り組む組織にするべく、全力を尽くしていきます。
 そういった意味でも今年は、様々なものに挑戦し、日本サッカーを、JFAの組織をより強固にさせていくスタートの年になります。サッカーファミリーの皆さんと力を合わせ、さらなる飛躍を目指していきたいと思っています。
 今年も日本サッカーにご支援賜りますようお願い申し上げます。