JFA|日本サッカー協会  Japan Football Association
JFAへの登録リンクENGLISHRSS

一覧に戻る
ウィークリーコラム

 FIFAワールドカップアジア3次予選の最終戦が6月22日、埼玉スタジアム2002で行われ、雨にもかかわらず駆けつけてくれた51,180人のファン・サポーターの声援を力に、日本代表はバーレーンを1-0で退け、グループ1位で3次予選突破を果たしました。
 今日のコラムは、川淵キャプテンが最終予選への期待と課題を語ります。

オシムジャパンから岡田ジャパンへ

 バーレーンとの最終戦を勝利し、グループ1位で3次予選を通過した日本代表。バーレーン戦のあとに見せた岡田監督の満面の笑顔が、グループ首位に懸けた強い意気込みを物語っていました。
 昨年11月、オシム監督が病に倒れたことで、急きょ登板となった岡田監督ですが、10年前、加茂周監督の更迭によって監督に就任したときとは異なり、周りの期待度や見る目も相当厳しくなっていたでしょうから、10年間経験を積んで自信をつけたとはいえ、色々考えることが多かったと思います。
 「考えて走るサッカー」、「ボールも人も動くサッカー」というのは、誰が監督になっても変わり得ないコンセプト。しかし、オシム氏の指導法をそのまま踏襲するというのは不可能だし、岡田監督のやり方があって当然ですね。しかし、不慮の出来事での監督交代ですからオシム監督への遠慮もあったでしょう。しかも、ようやくオシムサッカーが形になって表れ始めたところでしたので、急に岡田色を入れるのは得策ではないし、その好調の波を断ち切るわけにはいかなかった。岡田監督としては選手選考も含めてジレンマを感じざるを得なかったでしょう。
 そんな状態での不本意な敗戦・・・。そのときの岡田監督の悔しさは相当のもので、「オレのやり方でやる」と宣言。これで一気に火がつきましたね。監督が交代してしばらくはそれほど厳しく指導していないとチーム関係者から聞いていたんですが、実際私が視察したタイ戦前のトレーニングでは、岡田監督は選手に対して一つ一つ厳しく指導していました。
 今考えれば、この敗戦は岡田監督にとっても、チームにとっても、非常に意味ある敗戦だったと言えるでしょう。もし、勝ったり引き分けていたりしたら、気持ちに踏ん切りがつかないままズルズル行ったかもしれない。

ゴールするところでしっかり決めなければ

 先日のバーレーン戦では、何度もチャンスがあったにもかかわらず、肝心なところでゴールを割ることができず、多くの人がもどかしい思いをしたことでしょう。球回しが目的じゃないんですから、点を取るべきところで取らないと、この試合のように苦しむことになってしまう。それを選手も身にしみて感じたことと思います。
 今後の課題としては――顕著な例を挙げると、フリーな右サイドバックにパスを通そうとする場面で、玉田(圭司)がバックを引き連れてそのオープンスペースに走りこんだためにスペースがなくなった、このように、誰かとダブる動きが度々あった。バックを引き連れて行く必要なんてないわけで、その動きの精度、お互いの理解度を高める必要がある。そういう意味では、チーム全体でスペースをつくること、シュートを打つ意識をもっと強く持つこと、また、中距離からのシュートでゴールを狙うというのも重要なポイントになります。それに、厳しい戦いになってくると、頭ひとつのわずかな差が命取りになるので、体を投げ出して得点を奪う勇気が必要になってきます。
 それでも岡田監督のやろうとしていることを選手が理解し、それが一人ひとりのプレーに如実に表れてきました。前線でボールを取って、速いパスでつないでいく。まだうまくいかないところもありますが、意思の統一ができてくれば、このチームはかなり面白いチームになると思いますね。それに、チームワークという面でも良くなってきたのではないでしょうか。
 ドイツ大会のとき、ヒデ(中田英寿)と比較すると、中村(俊輔)はそう積極的にみんなと話し合おうとする選手じゃなかった。しかし、今は彼なりにチームメイトと連携をとろうと積極的にコミュニケーションを図っているようです。また、沈滞ムードになったときにチーム全体を鼓舞する闘莉王の存在も大きい。
 この6月の4試合を通じて、速い速度でチームづくりが進行しているし、岡田監督もU-20やU-23などの若手やJ2からも選手を招集しているので、選手間の競争が激しくなり、代表チームもJリーグも活性化していくと思います。とにかく、最終予選に向けてしっかり土台が築けたのは良かった。これからの2ヶ月間、Jリーグや強化試合でプレーの戦術を高め、最終予選では揺るぎない自信と勝利への執念を持って臨んでくれるものと期待しています。
 FIFAワールドカップのドイツ大会での惨敗が尾をひいたこともあり、代表の試合に空席が目立つ状況でしたが、今回、最終予選進出が決まっていたにもかかわらず、51,180人ものファン・サポーターの皆さんが来てくれました。現日本代表の魅力をファンの皆さんも感じとってくれたからスタジアムに戻ってきてくれたのでしょうし、最終予選に向けて大きな期待を持ってくれているのでしょう。雨の中、応援してくれた多くの観客の皆さんには心から御礼申し上げるとともに、最終予選も引き続き、ご声援いただきますようお願い申し上げます。

最終予選に向けて

 最終予選のことを考えれば、今回のバーレーン戦で完膚なきまでに相手を叩きのめしておきたかった気もしますが、それは望み過ぎかもしれませんね。まぁ、あの泥臭いゴールも岡田監督の目指す勝ち方の一つでしょう。EURO2008のクロアチアvsトルコ(延長戦終了間際でトルコが同点ゴールを決め、PK戦でトルコが勝利)のようなケースもあるわけですし、その二の舞を演じることがなきにしもあらずですから、どういう点であれ得点することが大事。強化試合と異なり、予選やタイトルが懸かった試合は、戦い方はどうであれ、勝つことが全てですから。
 僕の予想では、5勝1敗2分、あるいは5勝2敗1分が最終予選突破のラインなんじゃないかと考えています。もちろん、負けてもいい試合なんかないわけで、ホームでは必勝、アウェイでも最悪、引き分けが目標です。
 長く厳しい最終予選は、9月にスタートします。見ての通り、バーレーンも飛躍的にレベルアップしていますが、それを好敵手とみるようでは、日本代表もまだまだ。しかし、キリンカップでのコロンビア戦や3次予選の4試合を見る限りは、今の段階で既に宿敵・韓国やオーストラリアとは互角に戦える力を備えていますから、あとは連携と決定力を上げることですね。
 EURO2008なんかを見ると、勝ち上がっているチームは、ゴール前に4人もいて0-6-4という布陣で戦っている。もはや1トップ、2トップという時代ではなくなりつつありますね。日本もそういう戦いができれば、「ストライカーがいない」なんて心配する必要はなくなるんですけどね。
 最終予選というのは、本大会より厳しい戦いと言えます。南米予選を見ても、あのブラジルが苦戦しているんですからね。ともあれ、日本代表はアジアを牽引するチームとなったわけですから、今後はワールドカップに出場するだけで満足するのではなく、ベスト8、ベスト4を狙えるチームにならなければと思っています。そのためには、EURO2008のように速攻の際でも敵ゴール前には4人は詰めている、そして、守備は敵陣でも4人が必死にチェックに行く、という激しい動きができなければ世界レベルには達しません。全く真剣味がなく、格好だけでボールを追っているようでは話になりません。

 さて、先週お伝えした通り、来週、母校の小学校で夢先生を務めます。いつになく緊張して毎日を過ごしているのですが、そのレポートは翌月曜(7日)にはアップしますので、是非、読んでください。失敗談にならないことを祈りつつ、子どもたちと楽しく、有意義な時間が持てればと思っています。