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トピックス

2011/01/03

バーモントカップ初の女子チームが出場
福井県代表「丸岡RUCKガールズ」に意気込みを聞く

今回、女子選手のみで構成されたチームとして初めてバーモントカップに出場する「丸岡RUCKガールズ」の田中監督に、お話を伺いました。

●チーム紹介をお願いします
丸岡RUCKレディースは、1991年に中学生以上の女子一般のチームと設立されました。当時福井県は、北信越地域の中で女子サッカーへの参入が一番遅い県であったため、大会に出れば1点も取れずに敗退という結果でした。しかし、1994年に小学生のチーム、「RUCKガールズ」を結成し、低年齢からサッカーの楽しさを普及した結果、北信越の大会では結果を残し、全国大会に駒を進められるようになってきました。

2003年、サッカー協会が提唱するキッズサッカーに倣って、「RUCKキッズ」を立ち上げました。昨年度Jヴィレッジなでしこカップで優勝した中学1年生と、現在の6年生がその第一期生です。高椋小学校周辺の幼稚園児を集め、週一回、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に体を動かしてきた女の子たちが、ここまで成長しました。

RUCKとは、「ガラクタたちの集まり」という意味で、「たとえガラクタでも、みんなで心を一つにして頑張れば、どんな大きなことでも成し遂げられる」と信じて活動を続けてきました。チームの特徴は、チームワークと、だれにも負けない練習量。どんな強い相手にも、ガラクタ魂を発揮して最後まであきらめずに走り続ける心の強い女の子たちです。

【最近の主な実績】
2010年 キヤノンカップ…準優勝、全国草サッカー大会…3位
2009年 全国草サッカー大会…準優勝、なでしこカップ…優勝
2008年 キヤノンカップ…3位、なでしこカップ…9位

●男子チームと対戦する難しさ、普段の練習の中での工夫などを教えて下さい
福井県には、キッズサッカーのリーグ戦がなかったため、NPOスポーツクラブ丸岡が、丸岡ちびっこサッカーリーグを立ち上げました。そのリーグの運営をRUCKが担当し、U-8・U-9・U-10の部で、男子チームと定期的に試合を行ってきました。また、福井県のフットサルリーグが創設されたのも4年前で、現在の6年生は、U-9と、U-10の時に、福井県フットサルリーグのチャンピオンになっています。

小さい時から、ずっと男の子に試合の相手をしていただいていたので、男子チームと試合をすることに抵抗は感じていません。逆に、男子チームのほうが女の子に対して遠慮し、いつものサッカーができない時があるので申し訳ないです。
さらに今年度は、県サッカー協会や3種の先生方のおかげで、RUCKレディースが福井県3種リーグに参加させていただきました。中学3年生が引退した後のリーグ戦ということもあり、6年生の女の子が、中学2年生の男の子と公式戦7試合を戦えたことも、チームの強化になっています。また、今年度から始まる第1回全日本女子ユース(U-15)フットサル大会の存在も大きかったです。小さいころから続けてきた大好きなフットサルを、中学生になってからも継続できるようになったため、フットサルに対するモチベーションが上がったのだと思います。

●女子チームならではの魅力、強み、エピソードはありますか
大学時代に身体生理学で、「日本人男性の骨格は欧米人や黒人と比べるとかなり劣るが、日本人女性に関しては、外国人女性と比べて見劣りしない」ということを学びました。
中でも、福井県の女性は、勤勉で努力家で、忍耐強いという特徴があると思います。サッカーノートを書かせても、しっかりと自分とチームについて分析でき、言われたことを真面目に実行に移すことができます。プレイでも、スピードはありませんが、正確です。自分勝手なことはせず、仲間とともに喜び合うことを第一に考えてくれるので、キーパーをおびき出して、第二ポストに走りこむフットサルならではのプレイも労を惜しまずやってくれます。

また、県外の男子チームの招待試合に参加すると、女子チームを応援してくださる指導者やお母さん方がたくさんいます。夏の暑いときには、自分のチームよりも対戦相手のRUCKに氷や水の差し入れをしてくださったり、冷たいおしぼりを出してくださったりと大変ありがたいです。応援が、選手を成長させるとよく言いますが、特に今年のチームは、みんなから愛され、たくさんの方にいろいろなことを教えていただきました。

夏休み、EXILEのフットサル大会に出場しました。地域大会の優勝チームには、EXILEのスタジアムツアーにご招待という特典つきの大会でした。大阪大会で決勝戦まで勝ち進みましたが、PK戦の末、準優勝という結果でした。しかし、表彰式で、まさかのサプライズ。負けたRUCKも、「女の子だけでよく頑張った」と、特別にコンサートに招待していただいたのでした。優勝チームしか招待されない長居スタジアムのコンサートに、保護者と一緒に参加し、楽しいひと時を過ごしました。これも、女子チームの強みでしょうか。

●全国大会出場を決めたときの雰囲気はどんな感じでしたか
感動。感激。涙、涙。長い間、サッカーの試合を見てきましたが、こんなに面白く、心が熱くなった試合は始めてでした。決勝戦のロッソ春山には、福井県のスーパースターが二人。キーパーも165cmの長身。前半3-1でリード、後半逆転され、残り1分で同点に追いつき5-5。延長戦前半6-6、後半、先制するも逆転を許す。しかし、終了間際またしても追いつき8-8。諦めない、走り続ける。セットプレイが決まる。キーパーのファインセーブ。強烈なシュートに、2人がかりでブロック。PK合戦もサドンデス。7人目で決着。どちらが勝ってもおかしくない、終わった後に会場に拍手が響き渡った試合でした。勝算があまりなかった試合でしたので、「本当にうちのチームが代表でいいの」というのが本音でした。

選手たちは、「東京に行って、ディズニーランドで遊びたい」という一心で、最後まであきらめずに闘ったのでしょう。いつも口数少ないキーパーが、延長戦でまるで別人のように「シュート打たすな!」と、叫んでいたのが印象的でした。激闘の決勝戦70分、ビデオの電源も途中で切れてしまいました。また、素晴らしい相手がいたから、あんなに素晴らしい試合ができたのだと思います。相手チームにも感謝です。

●バーモントカップ県予選の振り返り(印象に残った試合など)
春江SSSとは、予選1次リーグと、予選2次リーグで対戦しました。勝ち上がるごとに抽選し、次の対戦チームを決めるという大会規定だったので、よほど相性が良かったのでしょう。春江は全日本少年大会福井県準優勝の強豪で、個人能力が高くよく洗練されたチームでした。1日目は1-0、2日目は2-3。2回の対戦で、こちらのセットプレイはすべてよまれてしまいました。最終日にも絶対対戦することになると思い、大会中日に急遽練習日を設け、新しいセットプレイの練習をしました。結局3日目の対戦はなかったのですが、ライバルチームの出現により、チームは大会期間中にレベルアップできました。フットサルは、相手チームとの駆け引きが実に面白い、奥の深いスポーツであることが実感できました。

●監督の指導歴・選手歴(男子チーム指導との違いなどもあれば)
1991年に女子サッカーのチームを立ち上げ、女子一筋19年目になります。
福井県の田舎で、クラブチームの生き残りのためにあがいてきただけなので、指導者としての実績などありません。選手としても、丸岡高校に進学せず、教員の道を選びましたので、サッカーのエリートでもありません。まさに、ガラクタとは、自分のことを示しているようです。しかし、サッカーにかける情熱だけは、人一倍持っているような気がします。

3年前に「学力向上実践研究校」に赴任し、子供の学力を向上させるためには、様々な体験をし、いろいろな人から生き方を学ぶことが重要であるということを勉強しました。「学力」=「競技力」ともとれるので、サッカーにも通ずるものがあると思い、学校での実践をRUCKの中でも行いました。仲間を信じる心を育むためにグループ縄跳びを取り入れたり、遠征の車の中でコミュニケーション能力を高めるためにエンカウンターのゲームをしたりと、サッカー以外の活動も増やしました。遠征先でのミーティングでは、脳科学や食育について講義し、メンタルトレーニングも行いました。女の子は、心の持ち方で1日1日が全く別人になるので、常に「夢や目標の実現のために」プレイさせることを心掛けています。サッカーの技術よりも、心の持ち方やチームワークの重要性ばかりを強調しているようなので、反省です。しかし、女の子は、心情にうったえる方がはるかに効果的なので、「仲間と心をつなぐことと、自分に自信を持たせること」の研究に力を注いでいます。

●指導方針(心がけていることなど)を教えて下さい
「サッカーはチームスポーツ。上手な人が集まるエリートチームより、心を一つにしたガラクタたちが勝利する」をモットーに、日々練習に励んでいます。
選手には「自分の個性を生かして工夫する」ことの大切さを説いています。試合前やハーフタイム、試合後に、自分たちの良かったことや課題を、選手だけでしっかりと話し合わせます。「チームのために自分は何ができるか。チームはその選手に何を望むか」を常に考えさせています。選手の特徴を生かしたチーム作りをすることを心掛けているので、毎年、RUCKのサッカーは、全く別のものになります。

「選手は一人では育てられない。たくさんの人に選手を育ててもらう」ということも重要視しています。出会ったすべての人から学び、誰にでも教えてもらう。自分の足りない部分を、いろいろな人に補ってもらう。フットサルに関しては、全くの素人ですので、これまでたくさんの方に指導していただきました。大会に出ては、対戦チームの指導者の方と話をし、練習試合を組んでいただく。「いつでも、どこでも、誰とでも」がフットサルの良いところですが、RUCKの指導方針も、まさに「いつでも、どこでも、誰にでも習う」というところでしょう。なので、RUCKのスタッフも選手も保護者も、常に感謝の心を持ち続けています。
最近特に、感謝の心が大切であるということも痛感しています。最後に勝負を決めるのは、「自分のために」ではなく、「支えてくださった人のために」という心であるということに気づきました。
また、「みんなに幸せをおくれるリーダー」をサッカーで育成したいと考えています。学校や職場で、仲間や支えてくださる人に笑顔をおくれる心の強い優しい人に育ってほしいと願っています。

●注目の選手・プレイ・みどころは
北川夏奈…身長168cm、スピード・運動量・フィジカル抜群の絶対的なストライカーです。左右どちらの足でも、シュートを決められるのが強みです。
田中悠香…驚異のキック力。フリーキックやセットプレイで鍵をにぎる頭脳派のプレイヤーです。キャプテンとして、チームの精神的支柱となっています。
山本華乃…危機察知能力にたけ、状況判断に優れたプレイヤーです。視野が広く、チームのためにコートを縦横無尽に走り回ります。
高尾茜利…テクニカルで、左サイドからの突破が魅力的です。北川とのコンビプレイは、見ている人を楽しくさせます。左足の強烈なシュートが県大会優勝の原動力となりました。

●本大会の目標・意気込みをお願いします
全国大会で、まず、1点をとることが目標です。最後の1秒まであきらめずに、みんなの心をつないで得点を入れたいです。そして、1勝。今まで応援してくださった方々の期待に応えるためにも、夢の1勝を目指します。
各県代表の素晴らしいプレイをしっかりと心に刻み、これからのフットサル人生に役立てたいです。いろいろ勉強させていただきたいと思います。できましたら、たくさんのチームと交流の輪を広げていきたいと思います。

●チームのキャプテンからのコメントをどうぞ
バーモントカップでは、全国の女子チームの代表として、チームワークと「ガラクタ魂」で男子チームに挑戦します。福井県のみんなや、いつも対戦している女子チームの期待も背負っているので、一つでも多く勝って恩返しがしたいです。
たくさん練習したセットプレイが、全国大会で決まるといいです。そして、上手な人のプレイをしっかり見て、勉強したいと思います。出場チームにいる女の子とも、友達になりたいです。気合と根性で精一杯頑張るので、みなさん、応援よろしくお願いします。(キャプテン 田中悠香)