スペシャルインタビュー
──監督就任当初のインタビュー(JFA news 07年1月情報号掲載)で、「守備の個人戦術が整理できていない。攻撃のテンポ、リズムをつくることも未熟」とおっしゃっていました。この予選を通じて、選手の成長が感じられたのはどういったことですか。
それについては、今ではそういうコメントがおかしいくらい進歩していると思います。個人戦術というのは、それぞれの所属チームで、やり方も異なりますが、私が集めたときの波長に合わせてくれました。チームの顔と代表の顔は少し違いますが、選手がそれを使い分けることができたというのは、すごくプラスだと思うんです。それも、完璧にこなすことを要求して、それに対して努力をしてくれた。そこが一つ大きな成長ですね。
それと、チーム立ち上げ当初は遠慮がちだった部分もあると思いますが、攻撃のテンポとかリズムをつくる選手が、積極的にそういうことをしようとしなかったんですね。しかし、最後の2戦も含めて、自分たちからダイナミックに、アクティブにやろうとする姿勢が見られましたし、実際、タレントも出てきているので、これからが非常に楽しみですね。
──精神面についてはいかがですか。

──予選全体を通じて、監督が貫いてきた信念というのをあらためてお聞かせください。
まず「情熱と誇り」は必ず持っていなければいけない。日の丸を裏切るような行為をしてはいけないということです。試合の結果というのは当然、最優先されますが、少なくとも応援してくれるファン・サポーター、テレビで応援してくれる方々にも結果はもとより、ハートに響くようなサッカーをしなければいけないということです。
また、イビチャ・オシム日本代表監督も言っているように、日本人が持っている特性、例えば勤勉性や連続する運動能力、そうしたものを全面的に押し出して日本流のサッカーをする。他国のサッカーをするのではなくて、日本国のサッカーをするということは意識してやっていました。
──予選で最も印象に残っていること、またアジアの予選を経験してあらためて思い知らされたことはありますか。
一番記憶に残っているのは、国立での最終戦ですね。やっとチームが一つにまとまって、クラブチームのようになった。全員のテンションが同じで、高低差なくできました。もちろん勝利できなくて残念でしたが、勝利に値する試合でした。北京に行けるということも重要ですが、選手一人ひとり、またチームとしても大きく飛躍できた試合でした。
もう一つの質問は、日本はもうあぐらをかいて、上からアジアのサッカーを見下ろすような立場ではないということを再確認しなければいけない。FIFA U-20ワールドカップに行ったチームもギリギリの戦いで勝ち上がってきた。そういうことを踏まえると、大きな差異はありません。むしろ逆転されているかもしれない。中東のチームは巨大な経済力のもと、下部の組織、若い世代の教育が行き届いてきています。東南アジアのサッカーも、今回のベトナムを見ても分かるように、非常に組織されて進展しつつあります。ですから、今までのように大差をつけて勝つという試合は、どんどんなくなっていくし、日本にとっては厳しい状況になるでしょう。ですから日本は当然、もっと努力しなければいけません。そう考えると、今回の予選はいい分析材料になったと思いますし、次は世界の舞台に出て行くわけですから、また世界と比べての課題等も見つけることができます。それを持ち帰って、今後どうするかということを、日本は考えなければいけないですよね。
──世界を相手に戦うために強化していく点について考えをお聞かせください。
まず当然ながら、個のレベルをアップしなければいけません。もう一皮、ふた皮くらいむけなければ。もう甘えは許されないので、完全に大人のサッカーの仲間入りをしなければいけないということです。それと、やはりチームとして成熟するために、短い時間かもしれませんが、いろいろな刺激を与えながら、実りのあるチームづくりをしていかなければいけないですね。
──ラストパス、フィニッシュの精度が課題だということをよく言われていましたが、そのあたりのアプローチについては、どうお考えですか。
これは日本だけではないかもしれませんが、ゴール前で迫力を出せる、スピードをうまく生かせる、判断を速くする、冷静になる。そうしたところを磨かなければいけない。もちろん先天的な部分もあるでしょうが、トレーニングして養うという後天的な部分も絶対にあると思うので、それは突き詰めていかなければいけない。一番大事なのは、そういう場数を踏むことが必要であって、やはり試合に出て、そうしたシーンをたくさんつくって、自分で切り開いていくということしかないと思うんです。
──最後に、オリンピックに向けての抱負をお願いします。
恐らく日本の立場というのは、ボトム4、底から4番目に入っていると思うので、ボトム4からベスト4に行くということです。それに向けて新たなチャレンジをしていきます。
※JFA news 07年12月情報号より抜粋・一部加工してあります