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スペシャルインタビュー

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──それはこの大会だけでなく、この後の彼らのキャリアにも役に立つと?

 間違いないですね。多分、一緒にみられている指導者もそうじゃないかと思うんです。
 僕の色を出して相手のを消して自分達のを出し惜しみしているサッカーであったら、次に指導者はなにをしたらいいのか分からなくなってしまいます。「日本人はこうやってやるんだ」と思い切って出させてあげる。選手たちで自立して、ある程度やらせるなかで「なにが通用してなにが通用しないのか」ということを出してあげる。そうすることで、彼らも自立心を持って次のステップを踏めますし、指導者もしっかり分析できる。次のU-17やU-20を目指しているチームも、そこに入ろうという選手も、そこの指導者もいます。そういう人達のためにも、こういう形で持っていってあげた方が良いのではないかと思いながらやっています。

──日本人の特性という点では、この年代をどう見ていますか?

 スキル、テクニックはあります。俊敏性があるのは間違いない。持久力や粘りも世界で上位だと思います。ただ、スキル・技術をしっかり使うという経験が少ない。うまくテクニックを使いながらゴールに結びつけるという、実戦の中での部分です。海外の指導者が来ると日本人の子どもたちを「うまい」と褒める。「でもゲームになったら全然使えていないね」と…。これはまさにそうだと思います。
 早い判断もある。組織力も持っている。理解力もある。うまく持っていってあげればもっともっと日本人の特性は生かせるようになりますし、ゲームの中で使えるようにすれば武器になると思います。

──それが「自分達でやる」という気持ちを持つことで、よりよくできるようになると?

 そうですね。技術のある選手がどうやってゴールするか。ヒントは与えますけど、その場その場で相手がいることですから、そこでどう発揮するのか。経験とかヒントの中でどう気付いていくかです。パターンで勝てたら世話ないですから。

──開催地のナイジェリアという土地柄から受ける影響はどうでしょうか?

 幸い、今いる選手の多くは13歳ぐらいから所属チームなどで海外経験をしていますから、どこに行っても大丈夫でしょう。食事が合わなくて全員で下痢することもありますが、そういうことも経験済みですし、飛行機を降りて荷物が出てこなくても2~3時間ぐらい平気で待っています。そういう経験を積んできているからこそ、全然動じないですね。

──クラブ組織で日本サッカーが整備されてきて、いろいろなレベルで様々な大会などを経験してきていることが少しずつ繋がってきていると?

 少しずつは経験として力になっています。日本協会も育成に力を入れてくれていますから、このチームは直前にアフリカ遠征もできました。6月にブルキナファソに行って、それもプラスになっていると思います。10年前にトルシエ(元日本代表)監督がワールドユース大会前にブルキナファソに行ってからナイジェリアに行ったというので我々も行ったんですが、10年経つと環境もずいぶん変わっているようです。食事のシミュレーションなどもするつもりでしたが、結構よかったので…。ただ、現地でストリート生活をしている子どもたちを目の当たりにした経験などから、選手たちがなにかを持って帰ってきてくれているとは思います。

──大会成績にはどこまで期待を抱いていますか?

 どうでしょう。選手には(最後まで)行こうといっていますけど、本当にやってみないと分からないですね。最初から勝ち星を計算してやるような年代でもないですし、やりながらどう修正していくかという方が大切です。目標はもちろん上に持ちながら、その作業を一戦一戦やっていくだけです。

──伸び代が日々変化する年代の選手と臨むW杯で、結果とは別に収穫があるとしたら何でしょうか?

 日本のサッカーが世界に通用するんじゃないかと我々は信じているんですね。そのコンセプトも、さっき言ったように日本の特徴を生かしながらやる。どこまで追求できるかということが大切だと思うし、彼らがそれをどこまで出して、なにが足りないかということをしっかりと受け止めて次のステップへ向っていくということが大切だと思う。もちろん、こういう目標の中で何も言わなくても彼らのモチベーションは上がっている。そういう気持ちで日本の良さを出しながら世界と戦うということが、勝ちながら彼らの体に身に染み付いていきます。
 育成年代で勝つことに意義があるのかという論議は他の国にもあるんです。でも我々は島国だし、なかなか世界と戦う機会はない。そうであれば、世界大会の中でどういうものが通用して通用しないのかを体感していくことが大切だと。その場に立てるということは、まず立ってみて、そのあと彼らがどう生かしていくか、というところだと思います。

(取材・文 スポーツジャーナリスト 木ノ原句望)


<監督プロフィール>
池内 豊(いけうち ゆたか)
1961年8月25日生まれ。愛知高等学校サッカー部でインターハイに出場し、全国高校選手権大会でベスト4。1980年に同校卒業後、豊田自動織機(株)を経て(株)フジタに入社。日本サッカーリーグ(JSL)のフジタサッカークラブで同年から96年までプレーし、JSL優勝1回、天皇杯準優勝3回に貢献。82年にはJSL新人王に。また、高校選抜日本代表、U20日本代表を経て、81~85年は日本代表で国際A試合8戦に出場。現役引退後は指導者の道を進み、フジタ女子サッカークラブ・ヘッドコーチ(94~95年)をはじめ、名古屋グランパスエイトでジュニアユース、ユース、サテライトの監督を歴任。02年から日本サッカー協会インストラクターを務め、07年にU15代表チーム監督に就任し現在に至る。

※U-17日本代表のページはこちら

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