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スペシャルインタビュー

 U-17ワールドカップを戦う21人を6月3日に発表後、翌週早々に大会開催地のメキシコに乗り込んだU‐17日本代表チーム。2年に一度の大舞台へは3大会連続通算6回目の出場だが、24ヶ国から集まる世界の若手強豪との対戦に、今回は高地開催という側面も加わる。その大会で、「ファイナリスト」になることを目指して、日本はグループステージB組でジャマイカ(現地時間6月18日)、フランス(同21日)、アルゼンチン(同24日)と対戦する。チームを率いる吉武博文監督が、出発直前、対戦相手や今大会への期待などについて語った。

Q:高地での大会になりますが、高地対策はどのようにしたのでしょう?

 高地対策としては、少し前から高地(の酸素状態)に慣れるために、低酸素マスクを選手に配って、1日1時間の着用を1週間ほど続けて準備させています。標高2600メートルという、(直前合宿地の)トルーカに早く順化できるようにと。初戦と2戦目は平地ですが、3戦目が高地で行われるし、勝ち進めばほとんど高地だということなので、高地の準備をしておけば、どこに行っても大丈夫だと考えてのことです。
 4月にシミュレーション遠征としてメキシコに行って、そこでボールの伸びや、どれくらいの疲労が残るかということを選手も体験しています。遠征では、選手たちも4~5日すれば慣れたようでした。慣れることが大切だと思うので、1週間はそういうところ(高地)でやってから、試合会場に入ります。A代表の2010年ワールドカップでのことも参考になっていて、当時のメディカルスタッフと情報交換もしました。

Q:グループステージで対戦する相手を、それぞれどう捉えていますか?

 初戦がすごく大事だと思っていますが、初戦のジャマイカはラテン系の典型で、波に乗せるとどこまでも行くという感じです。いかに相手の歯車をかみ合わせないようにするかがポイントでしょう。そうできれば我々にも勝機はある。でも3戦とも、いままでやってきたことの質をいかに上げられるかで、新しいことをするつもりはありません。
 フランスは、育成年代で定評がありますし、過去のU‐17大会でも敗けて、すごく悔しい思いをしている相手です。なので、日本サッカーの17歳の代表としては、是非リベンジしたいという強い気持ちが、選手にも、我々スタッフにもすごくあります。 ヨーロッパのチームなので、がっちり守備もしてくるし、攻めも組織的にやってくる。がっぷり四つに組んでどんなゲームができるのか。これまで2年間、我々がやってきたことが通用するかということを試したいですね。

Q:では、アルゼンチンは?

 アルゼンチンは、昨年8月の豊田国際で対戦して、0-0で引分けてPK戦で負けています。その時出ていた選手も多いですし、1年間でどのぐらい変わったのか、心身共にどれくらい我々が伸びたのかを見たいと思っています。
 ただ、その試合前までの勝ち負けによって、3戦目の雰囲気がすごく違ってくる。先を考えないで1戦1戦ということで、まずはジャマイカ戦に集中することが一番大切なことだと考えています。

Q:突破の目安はありますか?

 決勝トーナメントへ行けば一発勝負で、いろんな雰囲気もあって、どう転がるかわからないという内容になると思いますが、まずはグループステージでの3戦を通じて、勝ち点3、得失点差プラスマイナス0以上。過去の例を見ていると、それがボーダーラインで、勝ち点4をとれば、多分、次へ行けるだろうと見ています。
 でも、そんな計算ではなく、初戦に全部を集中する。その結果によって、2戦目をどう組み立てるかだと思います。高地ではないですが、平地では40度近い暑さがあるので、そこをどうするかですね。
 我々スタッフとしては、心身共に環境をいかに整えられるか、選手たちが気持ちよくサッカーに集中できるように努めたい。もちろん、選手も専念できるように自分のリズムを整えて、この2年間の全てをぶつける。これまでのサッカー人生のすべてをぶつけるというぐらいの気持ちでやりたいと思っています。

Q:この2年間のチーム作りで、最も気を配ってきた部分はどこでしょう?

 技術的に突出した選手はいないので、日本の良さである協調性、一人ひとりの力を合わせて1+1が3や4になるように、21人全員で戦っていくことです。チームにとってなにが有益かを一番に考えて、取り組んできたつもりです。ピッチの中のみならず、「誰が何をしたら自分は何をする」というように、チームで共鳴することをコンセプトにやってきました。
 例えば、試合中になにが起きているのかはベンチが分かってもしょうがない。相手のチームがどこを守ろうとしているのか。(そこを判断して、)そうでないところをみんなが一体感を持って、みんなが感じて同じところを攻めて行く。逆に、相手がどこを攻めてきているかを感じて、そこをしっかり守っていく。それはその時ピッチに立っている選手でないと分からないので、ピッチの中で問題解決を自分たちで、一人ではなくチームで出来れば、ということです。

Q:ピッチ内外に関わらず、チームでいる時はみんなで動いて考えるということですか?

 はい。試合に誰が出るかというのは本当に分からない。21人は横一線です。その時のコンディションによって、ケガもありますし、日本選手の17歳というのは精神的にはまだ幼いところもあるので、心の準備もすごく影響すると思っています。
 でも、世界大会に行って、周りから言わることでモチベーションが上がったり下がったりというのは、もう越えてほしいなと思います。選手自身が、まずは仲間と共に現地に入って、自分たちでどれくらいモチベーションを上げられるか、取り組んでほしい。そのサポートは、当然、我々スタッフもしますし、できるだけ短期間でヒントになるような言葉掛けが出来たらと、スタッフみなが考えていますが。

Q:この年代は日々変化がある年頃です。この2年間の世界のトレンドの変化と、その中の日本についてはどう捉えていますか?

 世界のサッカーは技術の方向に行っています。スピーディさや正確な技術など、チームの一体感や攻守の一体感の方向に、世界は向かっています。たまたまですが、我々もその方向でやって行けているので、世界大会に行ってもやっている方向は間違いないと思います。ただ、どれくらい質が違うかは行ってみないと分からないし、やってみないとわからないので、選手には縮こまることなく、思い切って全てを出してもらいたいですね。
 もちろん、勝ち負けはあって、それも大切なことですが、選手にはまだまだ先があって、この大会は1つのステップでしかない。だから、失敗を恐れずに、思い切ってピッチに立ってほしい。自分のいいところをいかに出すかだと思います。

Q:成功の鍵は失敗を恐れず、萎縮しないことだと?

 そうですね。日本選手というのは、サッカーに限らず、そういう(大きな)舞台に出た時に力を発揮できない傾向があります。普通にやればいい。
 だから、世界と日本が日常のレベルがかけ離れ過ぎているのかなと…。欧州や南米のチームには、日常が世界だから「世界」という言葉は無いと思うんです。普段の練習試合や練習が世界基準でやっている。日本のように世界を意識しているということは、まだ世界には遠いということだと思う。だから、世界大会に行ったときに、気持ちが平常心ではなくなってくる。そこで、自分の良いところを出そうとすればするほど、逆に縮こまって行ってしまう。
 ただ、「前向きなプラス思考で」と言うのはすごく簡単だけれど、実際にピッチに立ったときにそれを表現できるか、です。ではどうすればいいのか。これまで2年間、試行錯誤しながらやってきたところですが、結論としては、今に集中すること。出来もしないことを望むのではなくて、自分の出来ることを出来る範囲でやっていくということだと…。

Q:大会の目標設定はどこに置いていますか?

 2年前から言っていることですが、「ファイナリストになる」ことです。そこには、「決勝」という意味だけでなく、「A代表までの道」や人生全体でみて「最後までやり抜く」という意味もあります。大会が1ヶ月あるのであれば、最後までケガせずに、全てを賭けてファイナリストになる。成長著しい選手たちなので、体験値を上げるためにも、できるだけ多くの試合をということでファイナルまで行って、7試合できたらなと考えています。
 ただ、過去の大会では1度しか決勝トーナメントに行っていないので、「ちょっと目標が高すぎるのでは」という見方もあるかもしれない。でも、決して手の届かないところにあるわけではない。確かに、実力的には100回やって90回ファイナルに行けるというところまではないですが、確率的に1%でも2%でもあるのであれば、諦めずにやって、その確率を10%、20%、30%にしたいと思っています。そういう思いを含めて、ファイナリストになるのが我々の目標です。

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