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スペシャルインタビュー

  AFCアジアカップ優勝で幕を開けた2011年。日本代表チームはアルベルト・ザッケローニ監督の下で強化を進め、無敗記録こそ16戦で止まったものの、2014年FIFAワールドカップ予選では、3次予選2試合を残して最終予選進出を決めた。
 アジアカップ、ワールドカップ予選と、本格的な戦いが続いた一年から最終予選が始まる2012年へ向けて、イタリア人指揮官はチームや選手の成長をどうとらえているのか。新年への抱負など、話を訊いた。

Q:2011年はアジアカップ優勝で始まりましたが、どんな一年でしたか?

 アジアカップは、準備段階でいくつか不安を抱えていました。私自身初めての代表監督という仕事に着任してから大会前までに2試合しかしておらず、アジア勢との戦いに不慣れな面や、新しいグループを率いてのチームマネージメントということもありましたし、ケガ人も多くいました。加えて、大会中には香川、松井、酒井高徳、槙野がケガで離脱するという状況もありました。大会はスロースタートで始まったのですが、大会中にチームとしてのパフォーマンスが上がっていったと思います。最後は疲れから、パフォーマンスが少し落ちてしまいましたが…。

  アジアカップの次の目標としては南米選手権があったのですが、3月11日に東日本大震災があって大会参加を見送ることになりました。震災を受けて、Jリーグも厳しい日程になり、かつてない、難しいシーズンになったと思います。また、2011年は、これまで以上に、多くの日本人選手が海外でプレーするようになりました。
 そういう中で、キリンカップでのペルー戦やチェコ戦、その後のベトナム戦や北朝鮮戦では、戦術的にもメンバー的にもチームの底上げを図って挑みました。8月の韓国戦は、ワールドカップ3次予選を控えて、チーム力チェックの真剣勝負の場として100パーセントで挑むように選手に指示していました。

 全体としては、アウェーでのウズベキスタン戦を除けば、結果を求めていた試合で、望んでいた通りの結果を手にすることができたと思います。
 3次予選の組み合わせでウズベキスタンと北朝鮮が同組になった時は、最後までもつれる展開になるかと思っていたのですが、実際には、我々は2試合を残して最終予選進出を決めることができました。しかも、長友と本田がケガでほとんど参加できない中、チーム力で突破できたのはポジティブなことです。

 今後の主眼は最終予選になりますが、これまでの勢いに乗って歩みを進めて突破したい。それへ向けて準備します。日本サッカー界には将来性のある、逸材が揃っていると思います。11年シーズンの後半には、多くの若い世代がA代表に入ってきましたが、この傾向を維持して、若手には積極的にチャンスを与えていきたいですね。

Q:2012年、まずは3次予選の残り1試合があり、その後最終予選があります。どうのように戦って、どういう年にしたいと考えていますか?

 予選以外の強化試合では、自分たちのチームのデータをできるだけ集めて、チームがどの位置に来ているか、試合を通して見たいと思います。先日、AFCの(指導者)会議に出たのですが、各国が日本をターゲットに据えていると強く感じました。我々は研究されているでしょうから、これからはバリエーションを増やしていきたい。
 また、アウェーで強いチームと対戦できたらと考えています。国際カレンダーの関係で、アウェーで強化試合を組めるような機会は少ないのですが、アウェーで戦ってチームとしてのまとまりや完成度の高まりを確認したい。相手は欧州でも南米でも、非常に強いチームと対戦できれば構いません。そういう場数を踏むことで、日本はさらに成長できると考えています。

Q:最終予選へは?

 最終予選は6月からですが、難しいのは3試合続いていることです。対応の具体策は現在検討中ですが、海外組はシーズンを終えて疲れが出ている頃なので、コンディショニングが重要になります。また、2月の(3次予選)ウズベキスタン戦の後、最終予選まで時間が空くので、そこをどうするか。最終予選でのスタートダッシュは、そのあたりの取り組みにかかってくるだろうとみています。

 対戦相手は、やはり中東が多くなると思います。中東のチームには他とは違うタイプの選手がいて、文化や環境面でも異なっているので、簡単にはいかないでしょう。対戦するまでの数ヶ月の間に、選手には成長して欲しいですし、チームとしても成長したい。そうして、レギュラー格の選手の数を増やしていければと思っています。
 ただ、私は良い選手に恵まれていると感じています。招集が23人と限りがあるために呼びたい選手すべてを呼べませんでしたが、良い選手はたくさんいます。年長者で実力のある選手や、最近呼ばれていなくてもワールドカップの南アフリカ大会で素晴らしい活躍をした選手。五輪メンバーもとても成長してきています。14年ワールドカップへ向けてチームを強化して、フィジカルでも走力でも対等に渡りあえるようなチームを作りたいと考えています。

Q:選手にはどの点を伸ばしてほしいと感じていますか?

 若手の選手にはクオリティのある選手が多いので、さらに磨いて成熟させてほしいですし、中堅クラスの選手には、フィジカルコンディションを良い状態に保っていて欲しいと思います。良い選手がたくさんいるので、その中でフィジカルの良い選手を試合ごとに選んでいきたい。
 唯一、少し残念なのは、才能のある選手が欧州に行って、トップチームに入っていても試合に出ていないことです。彼らにも期待していますし、成長を待っています。

Q:日本代表チームはチャンスを多く作っても、決めきれないことも少なくないのですが、日本人選手の創造力と決定力について、どう感じていますか?

 イタリアや欧州ではビルドアップの段階で狙いの先が決まっていて、カウンターやショートカウンターで点をとることが多いのですが、日本サッカーはブラジルサッカーのDNAが入っているのか、パスが多い。それも横パスが多いのでリズムが遅くなるのだけれど、技術的なサッカーをします。足元がうまい選手も多い。私は日本のサッカー文化に自分のアイディアやサッカー観を加えていこうと考えています。それは代表監督就任時に心に決めたことです。

 国際試合では、いろいろなタイプの相手がいて、日本に対して、相手はスペースを消してチャンスを作らせないようにしてくるでしょう。最終予選を突破して本大会へ行けば、そういう相手と対戦することになるわけです。世界へ出れば、シュートを15本も20本も打てるような試合にはなりません。最小限のチャンスを決めることもやっていかないといけない。
 (最終予選で対戦する)中東勢も、一般にはスペースを消して、自分たちで仕掛けることをせず、フィジカルを全面に押し出してくるような戦いをしてくると考えられます。でも、そういう試合でも、私は勝ちたいと思っています。

Q:2012年にはオリンピックもあります。オリンピックについてはどう考えていますか?選手や活動など、日本代表と重なるところもあるかと思いますが?

 日本がオリンピックを大切にとらえていることは知っていますし、私も共感します。真剣勝負ができる大切な場ですし、自分たちがどのくらいの位置にいるかを確認する良い機会です。オリンピックはスポーツマンシップに溢れたスポーツの祭典ですので、それに参加するのは意義のあることだと考えています。
 オリンピック出場には最大限の協力をしていきたいと思っています。2月にオリンピック最終予選がありますが、A代表はすでにワールドカップ3次予選を突破しているので、重複する選手がいたら、オリンピック代表チームに行ってもらえればと考えています。

Q:ありがとうございました。