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スペシャルインタビュー

 2011年6月に始まった日本のロンドン・オリンピック予選で、若い日本代表チームは最終予選へと駒を進め、前半戦3戦を全勝で終えてC組首位で折り返した。今年1月中旬のグアム合宿で再始動し、2月に再開する最終予選後半でシリア、マレーシアとのアウェー2戦と3月のホームでのバーレーン戦に臨む。戦いの過程で、チームの主力級選手がA代表に引き上げられる一方で、昨年夏からは海外組が急増し、招集問題という新たな悩みも生まれた。予選突破を目指しながら、今年7月の本大会へ、その先の未来へ、関塚隆U-23代表チーム監督は、チームにさらなるレベルアップを求めている。12年への展望を訊いた。

Q:2011年はどんな年でしたか?

 オリンピック最終予選はまだ折り返し地点ですが、年内の3試合に3連勝して予選グループを首位で折り返せたことには非常に満足しています。第1戦のマレーシア戦へ向けて鳥栖の協力で良い準備ができましたし、そこで勝てて良いスタートが切れました。
 最終予選の初戦とその後2ヶ月空いての第2戦のバーレーン戦へは、ワールドカップ3次予選も並行していたので、2つのチームでメンバー構成がどうなるのか、その選手選考が非常に難しかったです。その中でもバーレーン戦で勝ち点3がとれたのは、「アウェーでも勝ち点を取る」というチームの一体感があったから。コンディショニングもしっかりできて、みんなで乗り越えることができました。

 その後、(中4日での)第3戦のホームでのシリア戦へ向けて、西から東へ移動してのコンディション調整は難しかった。時差調整で眠れない選手も何人かいて、対戦相手のシリアはマレーシアで試合をして日本に入ってきていた。我々の選手が試合当日に動けるのか気になっていたのですが、各人が自覚を持ってコンディション調整をやってくれた。 この試合をものにするために、選手、スタッフ、一丸となって良くやってくれました。国立に2万5千人を超えるサポーターが来てパワーを送ってくれたことも、それに応えようという選手の思いになって、それがシリア戦の決勝点につながったと思います。

Q:予選突破という目標の一方で、A代表に続くチームとして選手を送り出すという役割もある。現実にチームの主力級が途中でA代表に引き抜かれるのは、想像以上のものがありましたか?

 それは、想像以上だと思う一方で、あり得ることだとも考えていました。誰かがいないという状況は、自分たちの力を試す良い機会でもあります。選手たちからも「誰かがいないという言い訳はしたくない」という声が出ていました。「誰が出ても目標を達成するんだ」というメンタルがあれば絶対にカバーできるものですし、選手たちには、活躍すれば上があるということを早く体験できる機会になったかと思っています。
 それに、似たような状況は鹿島のサテライトチーム監督時にも経験しています。選手が良くなればトップチームに取られるので、同じメンバーで1シーズンやれたことはなかったけれど、クラブのスタイルでトップに供給できる選手を作っていた。(監督だった)川崎では逆の立場でしたし…。クラブでも代表チームでもやっていかないといけないことかと。それだけに、コーチ陣と各選手をしっかり見極めておくことが大事だと考えていました。僕自身、コーチとしてA代表のミーティングに出ているので、そういう流れは共有できていました。

 選手を固定してチームを作れればそれに越したことはないですが、何人かは選手が入れ替わったりして、我々はそうできない状況にある。この世代は、それでもやりきれるサッカー、大きなグループで出来るところを作っておかないと。それに、しっかりできるチームの形を持っていいた方が、いろいろと刺激があっていいと思います。

Q:そういう状況でも結果を求められますが、指導者としてのやりがいや、この年代の難しさなどは?

 (Jリーグ所属選手をあまり招集できない中で優勝した2010年の)アジア大会もそうですが、どんなメンバーでも戦って結果を残さないといけない。それがこの代表チームの宿命であり責任だと思っています。ロンドン・オリンピックの出場権を手にするという責任や重みは(試合の)一つ一つに感じていますが、そのやりがいも感じています。

 この年代は、対戦相手の情報が非常に少なくて、やってみないとわからないところがある。その力関係でどうなるかが読みづらい。加えて、アジアのアウェーでの戦いは大変厳しい。僕も5年ほどクラブでACLを戦って経験していますが、ここ数年、ACLを通して経験している選手が増えているのはいいことです。週末にJリーグをやって、違うタイプの相手とミッドウィークに対戦する。そういう一つ一つがスケールアップや成長につながっています。

Q:このチームをこれまで率いていて、苦しかったことはありましたか?

 それはありました。立ち上げた後に、活躍している選手をどう入れてスケールアップするか考えましたし、昨年2月の中東遠征前の立ち上げ時には、選手のコンディションがバラバラでサッカーができない。そういう状況で毎回集まって戦って結果を出すことが求められている。これは大変だとつくづく感じたものですが、それも前向きに考えて取り組んできました。
 その後、この8月には海外組が突然増えて、メディアには「招集を!」と騒がれる(苦笑)。この世代の代表は(国際試合招集の)拘束力ないので困ったのですが、そこでも、「海外組はプラスアルファ」と割り切ってやっていくしかないと考えました。大津(ボルシアMG)は、協会の交渉のおかげで(最終予選第2戦と第3戦に)呼べたのですが、彼はそこで海外組としての存在感をしっかり見せてくれたと思います。

 チーム作りの魔法などありません。見る目が大事になるし、「こういうプレーをやってくれるだろう」という選手を、所属チームから見つけ出すことが大事になります。それには視察を繰り返すしかない。ザッケローニ監督をはじめ、歴代の代表監督もそれは同じでしょう。

Q:最終予選終了後から本大会までは時間があまりありませんが、オリンピック本大会のイメージはありますか?

 今は予選を突破することで手いっぱいですが、本大会へ向けて選手がスケールアップするために何が必要か、予選を戦いながら一回ずつ分析しています。3次予選、最終予選、本大会と進むにつれて対戦相手は強力になる。選手には、結果を出すことを常に意識して、所属クラブでトレーニングを続けるしかない。彼らには「結果を残して、個人のパフォーマンスも残して行けるようにやってほしい」と言い続けています。オーバーエイジは、今は考えていません。最終予選突破と選手の成長を第一に考えていて、もう少し選手が伸びてくれたらと考えているところです。

 女子は優勝したワールドカップ直後に連戦で五輪予選があって、それを勝ち取った。たくましいし喜ばしいことだと思います。我々はやるしかない。チームのみんなと頑張って、男女ダブルで出場権を勝ち取りたいと改めて感じました。選手は「オリンピックに出るんだ」という強い気持ちで取り組んでいる。それを叶えることが僕の仕事で、そのために選手と一緒に戦って行きたいと考えています。

Q:ありがとうございました。