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JFAエリートプログラム[女子]活動レポート
運動・休養・食事 ~トレーニングの3本柱~(上)
「世界基準の選手育成」を目的に2003年度からU-14・13年代の男子選手を対象に「JFAエリートプログラム」を実施しています。今年から女子の活動も開始し、9月にJヴィレッジでトレーニングキャンプを、10月には韓国遠征を行いました。
9月19日~23日のトレーニングキャンプでは、U-14韓国女子代表チーム・JFAアカデミー福島との試合・合同トレーニングの他に、「ロジカルコミュニケーションスキル」「フィジカルトレーニング」などのプログラムにも取り組みました。
これらの詳しい内容や日本・韓国の監督インタビューを、これから約1カ月間、7回に分けて掲載していきます。
その1 レクチャー「運動・休養・食事 ~トレーニングの3本柱~」上
実施:9月20日(日)11:15 - 12:15
講師:中堀千香子[JFAメディカルセンター]
トレーニングキャンプ2日目に行われたのが、JFAメディカルセンターの中堀千香子氏によるレクチャーだ。
“上手くなるためのトレーニングとは”というキーワードを中心に、運動・休養・食事の相互関係の理解を呼びかけた。
「人間の学習(運動・頭脳ともに)とは、体の中身を一度壊し(?)、その修復過程で脳に刻み込まれること。修復することで、ステップアップすることができるんです」と語る中堀氏。その修復のために大切なのが栄養と休息だ。
栄養とは食事。その狙いは動きにキレを出すこと、そして体を作ること。そのためにはバランスと食べる量にも気を配らなければならない。ここでその仕組みをわかりやすくするために登場したのがコマだ。コマの縦方向の断面図(下図参照)を想像してほしい。それを5つの層に分かれるよう横割りにしてみる。ちょうどピラミッドをさかさまにしたような形状になる。一番上の層はその面積も一番大きい。そこに当てはまるのが、ごはんやパンといった主食だ。2番目がきのこ、野菜、芋、海草といった副菜。三番目が肉、魚、大豆といった主菜、4番目が牛乳、乳製品。そして最後の先端部分に当たるのが果物。アスリートの食事の割合は、このようなバランスが最もよいとされている。栄養はバランスよく取らないと、体というコマは回らないのである。

「食べたものは人間の筋肉、血など体を動かすすべてになります。食べたものを振り返るとケガや体力減少などの理由が潜んでいるかもしれないんです」(中堀氏)。食べたものが骨格として土台となるのは数ヶ月、筋肉や血液・組織は直後から数日・・・といったスパンで栄養は体づくりに反映してくる。バランスとともに大切なのが食べる量だ。14歳の頃といえば成長期。このタイミングで食べた食物から自分の血や肉に変えていく能力を身につけることが大切だと中堀氏は言う。「いわば、内臓や消化組織の筋トレですね。胃をよく働かせて、食べ物から力をつける力をつける。その機能を成長させることができるのがこの年代なんです。自分の身体や運動の強度に合った量をしっかり食べることでその能力は鍛えられます」(中堀氏)。例えば、試合のラスト15分で運動量が落ちる。気候や対戦相手・・・さまざまな要素が考えられるが、その可能性の一つに栄養が入っているかもしれない。疲労骨折や肉離れにも同じことが言える。毎日の食事の取り方で最後の一歩足を運ぶことができたり、ケガを防ぐことができる。何日か後の自分を意識しながら適切な食事を取るように心がけたい。
もう一つの修復方法が休息だ。休息でわかりやすいのは睡眠。睡眠には2つの種類がある。身体を修復するレム睡眠と脳を活性化させるノンレム睡眠。この役割の異なる2種類の睡眠が4,5回繰り返されて朝を迎える。テスト前の一夜漬け。一見、有効的に感じるこの勉強方法は一度ならず、経験のある人も多いはず。しかしここで覚えた知識、テストが終わるとすっかり記憶から抜け落ちているという経験も多いのではないだろうか。それは、脳に刻む時間がないから。これはトレーニングにも言えることだ。睡眠が少ないと昨日行ったトレーニング内容を体と脳に刻み付ける時間が少なくなってしまうため、効果的には身に付かないのだ。
眠りは最初の90分が大切と言われる。修復するための体の働きに必要とされるのが成長ホルモンだ。この成長ホルモンが一日のうちで最も多く分泌されるのが、この時間帯なのである。この成長ホルモンは心身の成長・修復から疲れの回復にまで力を発揮する。より良い睡眠環境を得ることで、成長ホルモンの分泌を促すことも重要だ。寝つきをよくして、最初のノンレム睡眠をしっかりと確保することで眠りの質を高めることはできると中堀氏は言う。
では、快眠の敵となるものはなんだろうか? それは寝る前の食事と不安や心配事。寝る前に食べると内臓の働きが活発になり、眠くなりにくくなる。成長ホルモンは空腹時の方がより促進されるため、満腹状態はよくない。寝る前に満腹感を得るような食事は避けるようにしよう。そして気をつけたいのが光。室内を明るくしても眠れるという人もいるだろうが、光は活動的にさせるメラニンを出すため、できるだけ暗い状態で眠りに入ることを薦める。
トレーニングだけでサッカーが上手くなる訳ではない――フィジカルトレーニングでも使われる言葉だが、これは生活面すべてにあてはまる。一生懸命トレーニングをし、たくさん栄養を取って、十分に休む。最高のトレーニングするためには、体を作り、そして休める栄養と休息は切っても切れない関係にある。自分自身の生活の中でもう一度このバランスを見直すいい機会になったのではないだろうか?